デロイト トーマツ グループ(以下、デロイト トーマツ)は、2027年4月から適用が開始される新リース会計基準(日本基準)に関して、財務・経理部向けの包括的なサービスを開始する。
今般、デロイト トーマツは会計の専門知見による助言と経理業務への適用・オペレート(運用)からなるサービスを開発し、コーポレート部門の課題解決のための拠点、Deloitte Tohmatsu Corporate as a Service Operate Center MAEBASHIで提供する体制を整えた。
新リース会計基準では、国際財務報告基準に準じた会計処理が示されており、従来、幅広く費用処理が認められてきた借手のオペレーティング・リースについて、原則として資産計上を行う会計処理が求められる。これにより、企業はリース契約の管理や契約情報の収集、会計上の論点の把握はもとより、IT システムの更新を含む業務プロセス・内部統制の再構築、経営計画・予算への影響やKPIの見直し要否の確認、人的リソースの確保など、さまざまな領域において対応が必要となる。
これらの新リース会計基準対応について同サービスでは、AI-OCRによる契約書のテキストデータ化。そこから生成AIを活用して、リース契約書に記載があるリース料や契約期間などの会計処理に影響する重要な記述を網羅的に抽出することを可能にするという。その上で、リース計算アプリにリース契約情報を自動連係し、使用権資産・リース負債を計算。その後、仕訳情報等の出力を含めた経理業務を提供するとのことだ。これにより企業は、大量の契約書の読み込み、リースシステムへの、多くの項目の転記、転記後の会計数値の手動計算等、新リース会計基準に伴い新たに発生する業務負荷を軽減しつつ、新リース会計基準に対応することが可能だという。なお、経理業務の提供にあたっては、会計専門家の監督のもとで実施すると述べた。

図1 改正リース基準に対応するサービス
改正リース基準に対応するサービスの、技術的な特徴
AI-OCRによる、テキストデータの作成(参照:図1 ①リース契約管理)
手書き文字を含む紙やPDFの内容を検索可能なテキストデータに変換。デロイト トーマツが独自開発したAI-OCRは、複雑なフォーマットでもテーブル情報も含んで読み取るエンジンであるICRを搭載しており、契約書のレイアウトや表の形式を保った状態でテキストデータを抽出するという。
生成AIによる、リース契約情報の自動抽出(参照:図1 ①リース契約管理)
AI-OCRが抽出したテキストデータを、生成AIが契約文書から必要な項目を効率的に抽出・解析。リース契約管理データベース上の項目にひもづけるとのことだ。
リース契約書・覚書などのデータベース(世代管理機能)(参照:図1 ①リース契約管理)
原契約書、個別契約書などの主契約の内容と、その後に締結する覚書や別紙などの新たな契約内容とをひもづけて管理できるという。会計数値の根拠となる、リース契約の一元的な管理が可能。
リース計算アプリへの自動連係(参照:図1 ②リース会計)
リース契約情報をリース計算アプリに自動連係し、使用権資産・リース負債を計算。その後、資産台帳画面や償却一覧表、支払一覧表といった、仕訳・注記に必要な情報を出力するとのことだ。
①リース契約管理機能と②リース会計機能は独立しており、必要な機能に絞って導入することも可能だと述べた。

図2 リース固定資産管理画面のイメージ図
Deloitte Tohmatsu Corporate as a Service Operate Center MAEBASHIについて
コーポレート部門の課題解決のため、デロイト トーマツ グループが有する会計やリスクマネジメントの専門性、デジタルアセットの活用やオペレートセンターでのオペレーションを投入し、課題収束、コーポレート機能の安定化、変革および運用(オペレーション)を一体でサポートするサービスである「Corporate as a Service」の運用を担う拠点。公認会計士、税理士、事業会社のシェアードサービス部門の運用マネージャー経験者など、デロイト トーマツ グループの多様な専門性を生かしながら、同センターからコーポレート部門のオペレート業務を提供することで日本企業のコーポレート業務の変革を支援していくとのことだ。また、これまで外部委託ができなかった判断や、意思決定を伴う非定型業務の受託、非財務情報の開示など、市場の要求に伴う、新たな業務プロセスの実装が可能となるという。
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