デザイン組織に求められる「不確実性への適材適所」と「ビジネスへの貢献」とは
発表ののちには、モデレーターを務めたBiz/Zine編集長の栗原が、磯貝氏にいくつかの質問を投げかけた。その一つが「プロット図の「業務不確実性」と「デザイン不確実性」という二つの軸は、どのようなきっかけで発案されたのか」という問いだ。
それに対して、磯貝氏は「リクルートに入社して、クライアントワークでやるデザインと事業会社でやるデザインは性質が違うことに気付いたことがきっかけだ」と答えた。冒頭で紹介したとおり、磯貝氏はデザインファームを経て、事業会社であるリクルートに入社している。クライアントワークの物差しだけでは測れない要素を内包するために編み出したのが二つの不確実性だという。
続いて、栗原がデザイン活用に頭を悩ます企業担当者に向けてアドバイスを求めると、磯貝氏は聴衆に向けて「やはりデザインが事業やビジネスにがいかに貢献できるかという視点が最も重要だと思います」とメッセージを送り、以下のようにコメントを残し、登壇を終えた。
「私はこれまで、デザイン活用の定着に挑みながらも、次第に機運が萎んで取り組みが失敗に終わる事例を数多く目にしてきました。その多くの事例で見失われていたのが『ビジネスへの貢献』という視点です。デザインでビジネスにどれだけ貢献できるのか。その姿勢がなければデザイン活用の定着は難しいでしょう。そのため、私自身もデザイナーの採用ではビジネス視点でもデザインを捉えられる人材を採用するようにしています。こうしたポイントを押さえていれば、次第にデザインで価値が生まれ、デザイン組織の規模も拡大していけるのではないでしょうか」(磯貝氏)