三者三様”のDEIに対する思い
パネルディスカッションに先立ち、TDC Globalの森本愛子氏は登壇者3名の自己紹介やDEIに対する思いを問いかけた。
最初に答えたのはRidgelinezの関優子氏だ。同社は富士通グループのコンサルティングファームとして5年目を迎えた会社である。関氏は自身が通算15年間アメリカでマイノリティとして仕事をし、社会や上司、一緒に働く同僚の理解と支援があったから仕事を続けられたという実感していると語る。ダイバーシティとインクルージョンが個人のキャリアに与える影響は非常に大きいため、RidgelinezでもChief Diversity & Inclusion OfficerとしてDEI(同社ではD&I)推進を担っている。
キンドリルジャパンはIBMのマネージド・インフラストラクチャー・サービス事業の分社化にともない、2021年から日本において事業を引き継ぐ会社として誕生した、今年3年目の会社だ。橋本寛人氏は、キンドリル設立以降、DEI(同社ではID&E)推進のコアメンバーとして活動しているという。それは、従業員満足度(エンプロイーサティスファクション:ES)の観点から、DEIを重視する必要があるからだ。カスタマーサティスファクション(CS)が高く、ESが低い場合は、その高いCSは持続しにくいが、現状でCSが低くてもESが高ければ、次第にCSは高まっていき、それは持続できるものだと考えているからだ。ESを重視する上で、いかに従業員が働きやすい環境を作るかを考える時に、DEIは重要だと語る。
マニュライフ生命はカナダを本拠とする大手金融サービスグループ、マニュライフ・ファイナンシャル・コーポレーションのグループ企業で、日本設立25周年を迎えた生命保険会社である。五十嵐隼一氏は「DEIへの取り組みはビジネスとして競争力を高めるために必須だ」と語る。その理由は3つあるという。1つは人材確保の観点。人口が減少していく日本において優秀な人材を確保するためには、多様な人を受け入れ、間口を広くしておく方が良い。2つめは多様性のある顧客に対して、会社に多様な人材がいなければ魅力のあるサービスが生み出せないという理由だ。そして3つめは、社会の多様性を大事にする流れを無視できないという理由で、企業の社会的責任を果たすことが重要であると主張する。