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第一三共ヘルスケア、ポーラ・オルビス、京都キャピタルパートナーズが語る、CVCが提供する“価値”

「01Booster Conference 2024」レポート

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投資部門が事業部門と連携するために行うべきこと

 CVCが直面する課題の1つに、「事業部門との連携の難しさ」が挙げられる。特に事業シナジーの創出を目指す場合は、事業部門とのコミュニケーションが必要不可欠だが、事業部門がCVCの取り組みに批判的で、なかなか関係性を構築できないケースも少なくない。そこで立山氏は、事業部門とどのように連携しているかと各社に問うた。

 「事業部門の邪魔をしないようにしている」と答えたのは、第一三共ヘルスケアの時久氏だ。そもそもCVCを含むオープンイノベーション的な活動は、事業部門で生み出した利益を使っているにもかかわらず、短期的な成果は出しにくいため、事業部門からは理解されないのは仕方がない部分もある。だからこそ、ブランドイメージや製品は活用させてもらいつつも、PoCを含めて予算獲得から企画、実行まではすべてオープンイノベーション部隊で行う立てつけにしているという。事業部門の手を極力煩わせないようにすることで、CVCやオープンイノベーションに対する肯定的な評価や連携も徐々に増えていくはずだと、時久氏は見込んでいる。

 ポーラ・オルビスホールディングスの前澤氏は、「投資からM&Aにつながったケースが1件あるものの、その他の投資先との事業連携は更に深めていくべきステータス」と現状を評価する。そこで今後は、2024年7月に設立したインキュベーション施設を活用してピッチコンテストなどを開催し、代表や事業部長を呼んで起業家たちとコミュニケーションを取ってもらうような仕掛けづくりを検討しているという。

 一方、京都キャピタルパートナーズは、“通訳”の役割を担うことで、現場との関係を構築してきた。地方銀行の行員たちは、伝統的な産業の顧客に接することがほとんどであり、最新のビジネスモデルや最先端の技術に触れることが少ないため、スタートアップの顧客が来た際の対応に困りがちだ。そこで、京都キャピタルパートナーズが間に入り、スタートアップの事業内容などを通訳することで、融資などの取引につなげているのだという。

 また、取引先企業においてスタートアップの情報を求める顧客が増えてきたため、無料のスタートアップ紹介サービス「LiNK∞S」を開始。取引に付加価値をつけることで顧客との親交を図り、現場に貢献している。

 最後に、立山氏から「今後、スタートアップにとってどんな存在でありたいか」と問われた第一三共ヘルスケアの時久氏は、「投資先と一緒に戦うCVCでありたい」と答えた。スタートアップが、新規事業の開発というヒト・モノ・カネの総合格闘技に挑んでいる以上、CVCも外から応援する「セコンド」ではなく、中でダブルスを組み、スタートアップに必要なリソースを提供しながら共に戦う覚悟が必要だという。ポーラ・オルビスホールディングスの前澤氏は、「スタートアップと大企業のハブとなって、資金やナレッジなどのリソースを循環させ、日本社会に貢献したい」と意欲を見せ、京都キャピタルパートナーズの村田氏は「スタートアップと事業会社の間に入り、両社のミスマッチを防ぐことでイノベーション創出につなげたい」と締め括った。

京都キャピタルパートナーズ株式会社 ベンチャー投資部 部長代理 村田義樹氏
京都キャピタルパートナーズ株式会社 ベンチャー投資部 部長代理 村田義樹氏

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山田 奈緒美(ヤマダ ナオミ)

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