アクセンチュアは、AIの自律性によって切り拓かれる未来について調査した。
同調査によると、デジタル化が新時代に入り、AIが継続的に学習し、自律性を獲得することで、組織全体を新たなレベルに押し上げていることが明らかに。この新時代に企業がAIに求める最重要指標は、そのパフォーマンスに対する信頼だという。
企業や社会におけるAIの普及速度は目覚ましく、過去のあらゆるテクノロジーより早く普及している。経営幹部の69%は、自社システムとプロセスの設計、構築、運用方法や、組織の再創造が急務だと考えているという。また、AIが技術開発パートナーやブランドの個別アンバサダーとして機能したり、物理世界のロボットを動かしたりすることで、人とAIとの新たな関係を育み、良い相互関係を構築する動きが強まると予測していると同社は述べる。
AIによるポジティブな影響を広げていくためには、AIに対する信頼が不可欠。すなわち、技術的な側面の裏で、AIが公正かつ期待通りに機能するという信頼が求められるという。AIの責任ある活用のみならず、デジタルを活用するシステムとAIモデルがより正確で予測可能であること、一貫性があり追跡可能であることが肝要だとしている。経営幹部の77%が、AIの真の利点は信頼の基盤があって初めてもたらされると考えているという。さらに81%の経営幹部は、この信頼戦略はあらゆるテクノロジー戦略と並行して進化しなければならないと考えているとのことだ。
「アクセンチュア テクノロジービジョン2025」は、生成AIが技術開発、顧客体験、物理世界、労働力など多岐にわたる要素に与える潜在的な影響を解説している。
- 生成AIを活用したソフトウエア開発とAIエージェントの進歩により、カスタムシステムが台頭し、静的なアプリケーションアーキテクチャから意図に基づくフレームワークとエージェントシステムへの移行が進んでいるという。マルチエージェントシステムが、より高い性能や適応力をもって個人に最適化されるようになれば、たとえば効率的な旅程の策定から在庫の最適化まで、処理能力の向上によってプロセスや機能全体を管理できるようになり、さらなる普及拡大につながると同社は述べる
- 企業はAIを顧客との新しい接点にすべく競っているが、AI体験にも焦点を当てなければ、ブランドの差別化を図ることはできないという。80%の経営幹部は、LLM(大規模言語モデル)やチャットボットを使用することで、ブランドの独自性を薄め、類似した情報発信につながる可能性を懸念。一方で、77%の経営幹部は、擬人化されたAIを構築し、その体験にブランド独自の文化、価値観、メッセージを組み込むことで、この問題を解決できると考えているとわかった
- 汎用ロボットが今後10年で登場し、より多くのAIの自律性を物理世界にもたらすという。また、導入時には汎用ロボットだったものが素早く新しいタスクを学習し、専門的なロボットへと成長すると同社は述べている。80%の経営幹部は、ロボットが人と協働しながら継続的に学習することで、人とロボットとの間に信頼とさらなる協力関係が生まれると考えている
- 人とAIの間に、好循環の学習サイクルが形成され始めているという。多くの人がAIを使用すればするほどAIは改善され、その結果、人々はさらに活用したくなるという。従来の自動化とは異なり、このAI新時代では、一度限りの利益にとどまらず、AIのスキルを向上させ、個人や組織全体にとっての価値を高められるとのことだ。経営幹部にとって重要な優先事項として、80%が人とAIの間でポジティブな関係を確保することを挙げている。自動化に対する猜疑心がその進展を妨げないようにするためには、まず従業員に戦略を伝え、プロセスに巻き込むことが必要だとしている
- アクセンチュアは先日、スタンフォード・オンラインとの提携により、顧客が生成AIに関する知識とスキルを磨くための生成AI学習プログラムを発表。加えて、企業はすべての従業員にデジタルアシスタントを提供することで、従業員に新たなスキルを習得させ、生成AIツールの活用の幅を広げることが可能に。生成AIの活用に長けている人は、生成AIに対する好意的な認識を持つ可能性が5倍高く、結果として組織もその恩恵を受けることにつながるとしている
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