中高生の探究心をビジネスに 試行錯誤でマネタイズを掴む
──「はたらく部」の事業化にあたって、苦労したことなどがあれば教えてください。
山本:何と言ってもマネタイズです。どのような形でサービスを届けるべきか、初期から参加してくれていた中高生の意見も聞きつつ、試行錯誤して探ってきました。そして最終的に落ち着いたのが、バーチャル空間上で同世代と交流を深め、友人を作りながら学んでいける“場”作りというモデルでした。
──どのような利用者が、どのようなきっかけで利用するのですか。
山本:北海道から沖縄まで、公立・私立を問わず、様々な学校の中高生が参加しています。勉強が得意とは限りませんが、社会に出て活躍したいという思いを持っている中高生が多いのが特徴ですね。保護者も「将来、社会に出てしっかりと独り立ちしてほしい」という思いで子どもを参加させているようです。
最近では、「はたらく部」の課外活動をもとに総合型選抜の大学受験までサポートするオプションコース「総合型選抜アカデミー」に興味を持つ利用者も増えています。2022年、大学入試における一般入試枠が全体の過半数を切り、勉強や成績だけでなく「どのような課題意識を持って何に取り組んできたか」を重視する大学が増えてきました。ただ、総合型選抜の対策ができる教育機関は多くないので、「はたらく部」がその受け皿になっており、既に東京大学や慶應義塾大学、MARCHクラスの大学への合格実績も出ています。
──セッションは具体的にどのように進めているのでしょうか。
山本:各セッションには社会人コーチと呼ばれる人たちが付いており、社会や仕事に対する興味や関心を学生から引き出す役割を担っています。「はたらく部」の活動は夜なので、企業で働いている人やパラレルキャリアを歩んでいる人が副業として関わっているケースがほとんどですね。
ユニークなのは、大人が子どもから評価されること。学校では通常、生徒が教師から評価されますが、「はたらく部」では社会人コーチが中高生に評価され、10段階で平均8を下回るとシフトから外される仕組みになっています。なかなか厳しい仕組みですが、社会人コーチにとっても、物事をわかりやすく伝えるプレゼン力や場の空気を盛り上げるファシリテーション力、一人ひとりに向き合うコーチング力などを伸ばせることが、大きなモチベーションになっているようです。
