KPMGコンサルティングとあずさ監査法人は、AI・データ活用を軸として企業の新たな価値創出を推進するCAIO(Chief AI Officer:最高AI責任者)を包括的に支援するサービスを開始した。
CAIOの必要性
多くの企業は既存のIT部門やDX部門にAI活用推進を委ねているが、AIの活用はより専門的な知識と経験が求められる。AI戦略立案からユースケース創出、AI投資実行判断、AIリスクのガバナンス整備、運用、AI・データの利活用人材の育成、AI・データプラットフォーム構築、社内外ステークホルダーとの連携などを総合的に担うCAIOの設置は重要性を増してきている。

9つのCAIOアジェンダ
同社では、CAIOが取り組むべきアジェンダとして次の9項目を設定しているという。
- 戦略・ビジョン:AI戦略の策定とAIイノベーションの統率
- マインド変革:組織全体におけるAIの理解の醸成とAI利活用の意欲向上
- コラボレーション:部門横断的な業務改革、外部パートナーとの連携強化
- 人材開発:AI人材の獲得/育成/スキルアップ
- 情報収集:急速に進化するAIの技術動向や法規制への迅速な対応
- 予算配分:柔軟な予算確保と技術革新/法規制対応への予算再配分
- 施策推進:AI利活用基盤導入およびビジネス価値創出への展開
- リスク管理:AIリスクの明確化と関連法令や規制との整合
- ガバナンス:AIガバナンスや倫理規定の策定/運用管理
同社は独自のグローバルフレームワークを活用し、次の支援を行うと述べた。

1.Data&AI CoE組織支援
企業内に組成されたデータ&AI CoE組織に対し、同社のグローバルフレームワークを用いて網羅的に課題を洗い出し、包括的な課題解消とCoEの組織力強化を支援。
- AI・データ利活用成熟度診断
- CoE組織デザイン/運営推進
- AI・データ利活用戦略
- AIツールの評価・投資意思決定
- AI・データ利活用人材の育成計画策定
- AI・データ利活用に関する研修実施/伴走
- AIガバナンス整備/運用
- 各種AI・データ利活用プロジェクトにおけるPM/PMO
2.Data&AI プラットフォーム導入支援
AI・データ利活用に欠かせないプラットフォームの戦略構築、概念設計や導入支援を行う。
- AI・データプラットフォーム戦略/構想策定
- データモダナイゼーション(データファブリック、データメッシュアーキテクチャなど)
- AI・データプラットフォーム導入
- xOps実装
3.データマネジメント推進支援
企業が抱えるデータを、いつでも誰でも活用できる形に整備することを目的に、データ品質やメタデータの整備、データマートの構築などを支援。
- データマネジメント方針策定
- データアーキテクチャ(DWH、データマートのデータモデリング)の設計
- メタデータ管理(マネジメントプロセス策定、基盤導入)
- データ品質管理(データ品質評価、改善施策推進)
- データガバナンスの整備/運用
4.データ分析/AI構築支援
企業データの分析代替や、分析結果からのインサイト創出、生成AIを含むAIシステムの開発を支援するという。
- データ分析ユースケース創出
- データ分析代替
- インサイト創出
- データ分析プラットフォーム要件検討
- 分析データ定義
- モデル開発
- AIアシスタント開発(RAG、チャットボットなど)
- AIエージェント開発
5.生成AI活用推進支援
各種生成AIツールの全社導入・活用促進、また、すでに導入済みの生成AIツールの活用を推進し、全社的な業務効率化を支援。
- 各種生成AIツールの全社導入/活用促進
- 生成AI活用人材の育成支援(教育プログラム設計、講師内製化など)
- 生成AI活用伴走支援
- 生成AIのユースケース創出/PoC(概念検証)
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