日本のUXに対する意識は10年遅れている?
篠原: ところで、今回の滞在中、日本のUXの状況についてどのように感じられたでしょうか?
ジェフ: UXメトリクスというテーマでこれだけの人たちが関心を寄せて集まってきたことに大変、驚きました。米国でも、あれだけのメトリクスを専門にした人や関心を寄せる人たちを一堂に集めることは難しいのではないか、と。また。UXアプローチの重要性をみなさんが把握しているというだけでなく、UXを測定するというところにまで関心が向いてきていることに、非常に感銘を受けました。
それと、もう一つ気づいたことに、「UXのROI」への関心の高さについてがあります。UXのROIというのは10-15年前くらいは、米国においてもホットなトピックスの1つであったことには違いありません。たとえば、UXを正当化する目的で、どのくらいの効果があるのかということを証明する必要があったのです。 しかし、今の米国では、UXの価値は既に証明され、UXのROIはあるものとして認識されており、UXの取り組み自体が企業の競争力を強化し、他社との差別化を図る要素として認識されています。そして、ROIを考える必要もなくなっていったのです。