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【入山章栄×ログラス布川】AIエージェント元年の競争優位は企業独自の「文脈」と「暗黙知」の言語化

ゲスト:早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授 入山章栄氏、株式会社ログラス 代表取締役 執行役員CEO 布川友也氏

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注意が必要な「バイアスの存在」、人間がすべき「価値判断」

入山章栄

入山:しかし、コンテクストの「集めすぎ」も危うくありませんか。人間は必ずしも有意義な雑談だけをするわけではありませんから。

布川:リスクにもなり得ると思います。本来はAという意思決定をすべきにも関わらず、人間関係や社内政治が要因でBの意思決定を望む声が増えてしまうと、AIがBのコンテクストを積極的に学習することは十分あると思います。

入山:そこで、私は企業理念のような「価値」が重要だと思うんです。企業経営に関わらず、人間一般に当てはまる話ですが、AIの技術が進化していくなかで人間に残される役目は価値判断です。価値は人間の主観なので、「どの価値を重視するか」という判断は人間が行わなければいけません。

 膨大かつ多様なコンテクストが収集されるAI時代には、その利点を活かす必要がある一方で、コンテクストに流されない芯の強さも求められるのだと思います。その軸となるが、企業においては企業理念や企業文化なのではないでしょうか。

これからの経営企画に求められる「戦略的いい人」

画像を説明するテキストなくても可

入山:最後に、人材についても聞かせください。AI時代に求められる人材像はどのようなものだと思いますか。

布川:AIツールが活用できたり、データを解釈して説得力のあるストーリーで説明したりするスキルは、欠かせないと思います。ただし、それ以上に重要なのは、ソフトスキルのほうかもしれません。

 今後、経営や事業のあらゆる場面でAIが活用されるようになるでしょうから、AIをどのような方法で使うか、どうのように多くの従業員に利用してもらうか。それを考案できる人材の価値は極めて高いです。実行するには、好奇心や洞察力、人間的な魅力といったソフトスキルが欠かせません。

入山:これも先日のログラスのイベントに登壇した際にお話ししましたが、経営企画は「いい人」になるべきだと思うんです。AI技術が進展すると、従来は産業プロセスのなかで付加価値を担っていた中間業務の需要が減り、付加価値は上流と下流にスライドしていきます。これを「スマイルカーブ現象」と呼ぶのですが、その影響を特に受けるのが、中間業務の代表的な存在である経営企画です。

 では、これからの経営企画はどうすればよいのかと言えば、いわゆる「現場」である下流工程に馴染んで、上流工程との橋渡しや経営戦略の示唆を得るような役割を担わなくてはいけません。しかし、そのときに、いかにも「本部から来ました」といったお高くとまった雰囲気を醸し出していたら、たちまち現場の人々からは嫌われてしまうでしょう。だから、これからの経営企画は親しみやすく、嫌味のない「いい人」であるべきだと。これはソフトスキルの重要性を強調された布川さんの視点と似ているのかなと思いました。

布川:なるほど。たしかに、「いい人」はなかなかAIには出せない価値ですね。経営企画は、AI時代に役割が変化しやすい職種だと思うので、「AIにはできない仕事は何か」と常に考え続けて、自ら実践していく必要があるのだと思います。本日は、入山先生とAIにおけるコンテクストなどに関して、多くの議論ができ、様々な示唆が得られました。ありがとうございます。

Loglass AI Agents
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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社ログラス

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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