Salesforceは、AIエージェント主導の会話型サポート製品群「Agentforce IT Service」を発表した。

Agentforce IT Serviceは、拡張性、安全性、信頼性の高いソリューションで、従業員が日常的に使う環境の中で自然な会話型の解決策を即時提供し、チームの負担を大幅に軽減するもの。
Agentforce IT Serviceは、Salesforceプラットフォーム上に深く統合されて構築されている。企業内のデータサイロ(英語)を解消し、AIによる迅速な自動解決や部門横断的なシームレスなワークフローを実現。さらに「Service Cloud」から受け継いだベストプラクティスにより、コストのかかるシステム連携やデータ分断を排除する。「信頼できる唯一の情報源(SSOT:Single Source of Truth)」を確立し、その結果としてスタッフの業務効率と従業員満足度を最大化。
Agentforce IT Serviceの機能
- AIエージェント型ITサービスデスク(英語):ITILプロセスに準拠しながら、次世代のエンドツーエンドなITサービス管理機能を備えている。
- 複数のAIエージェントの協業:複数のAIエージェントがそれぞれの専門分野の知識を持つエキスパートとして連携し、従業員やITチームを支援する。
- エンタープライズ全体での連携:各種コネクター、統合機能、ワークフローにより、組織全体のIT環境を横断して業務を遂行できる。
- AIエージェント型構成管理データベース(CMDB)およびサービスグラフ:企業全体のインフラ、アプリケーション、サービスを網羅的に可視化し、接続関係や依存関係を完全に把握できる「エンタープライズグラフ」を提供。これにより、予防的・事後的なインシデント対応や原因分析を支援できる。

従業員向け:即時解決で実現する、生産性の最大化
Agentforce IT Serviceは、SlackやMicrosoft Teams、従業員ポータル、Webチャットなど、従業員が普段働いている環境に対応している。
- Agentforceによるパーソナライズ対応:例えば「自分のノートパソコンが更新の対象かどうか知りたい」という場合、SlackやMicrosoft Teams、従業員ポータルなど普段の業務環境からそのまま質問可能。Agentforceが社員のプロフィールや社内ポリシーを確認し、ITチームの介入なしにリアルタイムで最適な回答を提示する。
- プロアクティブなインシデント対応:メールサーバーの障害のような全社的な問題が発生した際には、Agentforceが影響を受ける従業員に自動で通知を送り、状況をリアルタイムで更新。さらに、従業員の問題が未解決の場合には、Agentforceが自動でインシデントを登録し対応する。
- AIと人のシームレスな連携:セキュリティ侵害のように複雑または緊急性の高い問い合わせを受けた場合、Agentforceは即座にITチームへ会話を引き継ぎ、迅速な対応に必要な情報を添えて共有。

ITチーム向け:従来型ヘルプデスクから、AIエージェントが支える次世代サポートへ
Agentforce IT Serviceは、インシデント管理を自動化し、迅速な問題解決を支える高度なインサイトを提供することでITチームの業務拡張を支援。これによりトラブルを未然に防ぎ、ITサポートコストを削減する。
- 自動化されたインシデント管理:従業員からの報告に基づき、自動的にインシデントを作成し、その優先順位付けを行う。複数の従業員がVPNの不具合を報告した場合、Agentforceはそれを広範な障害として特定。重大インシデントとしてエスカレーションする。
- 迅速な問題検知:重大なインシデントが発生した際、過去のインシデントデータを分析し、根本原因を特定。要約レポートを生成し、解決策を提案する。
- データに基づく意思決定:ITリーダーやマネージャーは、チームのパフォーマンス、資産状況、インシデント件数を容易にモニタリング。これにより、リソース配分の最適化や業務負荷の調整など、データドリブンな意思決定が可能となる。
- IT運用と資産のダウンタイム最小化:ITインフラ全体のSSOTとして機能するCMDB(構成管理データベース)を内蔵することで、障害箇所を迅速に特定。


【関連記事】
・セールスフォース、MuleSoft Agent Fabric発表 複数のAIエージェントを的確に管理
・ SalesforceのAIエージェント「Agentforce」をLINEヤフーが採用
・三菱UFJ銀行、業務効率化に向けSalesforceの自律型AIエージェントを採用