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組織の対立を共創に変えるバイモーダル戦略とは?クレディセゾンとGovTech東京がDXの秘訣を語る

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クレディセゾンが取り入れる「バイモーダル戦略」とは

濵﨑:今回、お題を二つ用意しました。第一のお題が「デジタル変革のキードライバー」です。クレディセゾンのデジタル変革を動かす鍵はどこにありますか?

小野:当社で取り入れているフレームワーク「バイモーダル」をご紹介しましょう。元々はガートナーが約10年前に生み出した言葉なのですが、この考え方が今日のDXを動かす鍵になる気がします。

小野:向かって左側の「モード1」は、歴史が長く規模の大きい日本企業で往々にして支配的な考え方です。ヒエラルキーや計画に対する予実を重視します。稟議に対して95~105%に着地させることを是とし、75%で着地した場合は「努力が足りない」逆に110%で着地した場合は「見込みが甘い」と言われる。いわば侍のような考え方です。侍は甲冑を身にまとっているため、矢が飛んできても致命傷には至らない安定性がある一方、身を守る甲冑が歩みの速度を落としてしまうとも言えます。

 向かって右側の「モード2」はスタートアップ的な考え方で、こちらは忍者に例えられるでしょう。非常に身軽で動きが早く、仮説が外れたらピボットします。

 モード1とモード2の強みが異なるため、両方が揃うに越したことはありませんが、これがなかなか難しい。モード1からはモード2のやり方が危なっかしく見えますし、モード2からはモード1のやり方が「古い・堅い・遅い」と見えるため、どうしてもコンフリクトが生じてしまうのです。両者のコンフリクトをマネジメントして協調を促すバイモーダル戦略を、当社では推進しています。

井原:GovTech東京の戦略もこれにしたいと思うくらい理想的な戦略ですね。

コンフリクトは「HRTの原則」で解消せよ

井原:私は小野さんと違う角度からお題と向き合って「思い」をデジタル変革のキードライバーだと回答します。

 我々が開発するサービスの向こう側には、被災して家族や職を失ってしまった方もいらっしゃいます。その方々の苦労に比べれば「モード1と2のコンフリクトなんて何てことはない。やってやろう」と私は思えるんです。モード1の色が強い行政の仕事では特に、思いの強い人が事を起こす必要性を感じます。

濵﨑:お二人ともご回答ありがとうございます。モード1とモード2の間に生じがちなコンフリクトはどのように解決すれば良いのでしょうか?

小野:「HRTの原則」が有効だと考えます。「Humility(謙虚)」「Respect(尊敬)」「Trust(信頼)」の頭文字を取った概念で、Googleが取り入れている原則の一つです。謙虚さを忘れず、相手を尊敬して信頼すれば、モード1と2のぶつかり合いもクリティカルな事態にまでは発展しません。

 また、自分と異なる価値観を持つ人のファインプレーを目にすると、相手への評価が変わることがあります。たとえば、あるプロジェクトで複数部署との調整や交渉の負荷がどんどん大きくなっているとします。モード2のプロジェクトリーダーはお手上げ状態です。そこで、普段からシビアな調整事や交渉事を捌いているモード1の情シス部長に声をかけ、会議に入ってもらいます。彼の見事な捌きを目の当たりにしたプロジェクトリーダーからは、モード1に対する感謝やリスペクトが自然と生まれるはずです。

井原:「それぞれが良い仕事をする」これに尽きる気がします。自分の分野でプロフェッショナルな仕事をして、相手のプロフェッショナリズムに対して敬意を払うことが大切ですよね。

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AI時代でも体験に勝る学習なし

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Biz/Zine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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