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東洋エンジニアリングのDXリーダーがグループ会社TPSの新社長に プラント企業の変革は続く

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DXリーダーに求められる三つの「〇〇力」

──当事者として活動されてきた瀬尾さんが考える「DXリーダーに求められる資質や素養」を教えてください。

 難しい質問ですね(笑)。私は次の三つが重要だと考えています。

1. ビジョン構想力
2. 翻訳力
3. 発信力

 1は「DXはビジネス変革の手段である」と思わせる画を描く力です。主語はあくまでもビジネスで、How(手段)を通じて起こしたい変化を語れるようにならなければ、仲間内では盛り上がっても全員の背中を押すことはできない気がします。

 2は、相手に響きやすい言葉や切り口で語る力です。たとえば経営層に対しては「粗利がこれだけ上がります」という切り口が響きますし、現場の担当者には「業務課題を解決できます」「あなたのライフワークバランスが守られます」などの切り口が響くでしょう。この“翻訳”がなければ、DXに対する共感はなかなか生まれません。翻訳には経営、IT、現場の課題など、幅広い知識が必要です。

 東洋エンジニアリング時代、私は「DXで生産性を6倍にする」と社内外に発信していました。大胆な発言で周囲に驚かれましたが、インパクトが強くわかりやすい言葉を社内だけでなく社外にも発信し続ける力が、3で挙げた発信力の意味するところです。

 DXの進捗を水が入ったコップに例えると、多くの人は既に入っている水ではなく、水で満たされていない余白のほうに目を向けがちです。リーダーは至らないところに着目するのではなく「ちゃんと水が入っているんですよ」と発信する役割も果たすべきだと考えます。

翻訳力をどう身に着ける?

──2の翻訳力は、習得が特に難しそうだと感じました。瀬尾さんは翻訳力をどのようにして身に着けましたか?

 身に着けられているかはわかりませんが、DXoT推進部へ異動する前にMBAを取得した経験は大きかったかもしれません。業務と並行して取得したため相当苦労しましたが、ここで学んだ経営の知識がDXをリードする際に役立っています。好奇心を忘れず様々なことにチャレンジすると、複数の観点や角度で話をする力がつくはずです。

──最後に、TPSのDXおよび経営における展望をお話しください。

 TPSが展開する四つの事業間で、シナジーを創出していきたいと考えています。一つひとつの事業では粒立ったおもしろいことをやっていますから、それらを組み合わせて高い付加価値が出せると思うんです。そうなると、やはりデジタル基盤が肝になります。案件の組成から完成、既設設備の改造・増強まで、もっと言うとプラントの解体からリサイクルまで、プラントライフサイクル全体をデジタルでつなぐ仕組みを構築したいです。

 加えて、経営のトランスフォーメーションも進めています。現在、経営層のためのマネジメント基盤を構築中です。ここで各プロジェクトや事業部門のデータをリアルタイムに集約し、経営状況を見える化します。これにより、リソースの最適配置や利益構造の把握など、経営判断をデータに基づいて行える環境が整いつつあります。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(Biz/Zine編集部)(ワタナベ カナ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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