2025年11月10日、ノボ ノルディスク ファーマとDeSCヘルスケアが、AI技術とリアルワールドデータを活用した医療情報提供モデルの共同開発に着手したと発表した。背景には、医療現場におけるデジタル化の進展と、医師の働き方の変化がある。従来の製薬企業の情報提供活動から、より科学的根拠に基づき、各医療機関や医師の多様なニーズに合わせた情報提供への変革が求められている。
ノボ ノルディスク ファーマは、糖尿病領域での知見を生かし、慢性疾患克服を目的にデータ活用とデジタルイノベーションに重点を置く。今回の共同開発は、AIとデータを組み合わせた情報提供の質向上を図る重要な取り組みと位置付けられている。
一方、DeSCヘルスケアは健診・レセプトなど、多様な健康・医療情報を含むリアルワールドデータを活用し、生活者の健康増進や保健事業の課題解決に取り組んできた。DeNAグループの一員としてエンターテインメントやスポーツ分野でもAIサービス開発に実績をもち、AI技術やデータサイエンスの専門性も蓄積している。
今回の共同開発プロジェクトでは、両社が有するデータ活用ノウハウとAI技術を組み合わせることで、医療情報提供活動の高度化を目指す。具体的には、令和5年施行の改正個人情報保護法に基づいて行政機関等から提供される匿名加工情報を含むリアルワールドデータを活用。これをAIで多面的に分析し、的確かつ質の高い医療情報を医師・医療機関へ届ける仕組みの開発が進められる。
今後、両社はテクノロジーの活用を通じて、患者一人ひとりに最適な医療情報を提供し、健康寿命の延伸と医療の質の向上へ貢献していく構えである。
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