ロート製薬と東京科学大学は、サイバーフィジカルシステム(以下、CPS)に関する研究を行う協働研究拠点の設置に向けた協定を締結した。
同社はこれまで多様な商品を展開してきたが、製造品目や製造量の増加に伴い、より高品質な製品を安定的に生産するためのシステム構築が課題となっていた。そこで、東京科学大学藤澤研究室との共同研究によりCPSをマザー工場である上野テクノセンターで実装し、工場内の最適化を進めてきた。
CPS導入の実績
「モノの移動最適化」に向けて、CPSの導入を積極的に推進
- 上野テクノセンターと周辺倉庫における自動倉庫の運用最適化(夜間棚替え)において、東京科学大学藤澤研究室が開発した搬送シミュレータや最適化アルゴリズムを実際の現場に導入。日中の輸送機の移動距離を50%以上削減し、作業者の待ち時間も約30%減少した。
- エネルギー消費の削減やリアルタイムでの工場内状況の把握も実現し、生産効率とコスト削減に貢献。

CPS研究における今後の展望
- さらに柔軟で迅速な「リアルタイム最適化」を目指し、センサ技術とシステム間の連携を一層強化。より精度の高いリアルタイムシミュレーション技術の開発を進める。
- 販売予測や在庫管理を含め、サプライチェーン全体の流れを俯瞰したシミュレーションを行うことで、企業活動全体の効率性向上を追求。
- サプライチェーンにおいて、原材料調達から製品輸送までの物流ネットワーク最適化を進め、輸送能力を最大限に活用。また、温室効果ガス(GHG)排出削減を推進する。
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