三井化学は2026年3月4日、学術文献や研究報告書中の化学構造式から化合物情報を自律的に抽出する生成AIエージェントシステムを独自開発し、社内で実証実験を開始したと発表した。2025年度内には実証実験を完了し、2026年度からの本格運用を計画している。
化学分野の研究開発では、特許文献や学術論文の大量調査が必須である。中でも高分子や有機化合物など、複雑な構造を持つ物質については、化学構造式から化合物名や用途、物性、製造法などの詳細を抽出する作業は手間と時間を要し、従来は研究者が文献を一つずつ確認しながら手入力で整理していた。そのため、調査には1カ月近い期間がかかり、研究効率の大きな障壁となっていた。
今回開発した生成AIエージェントシステムは、AIによる化学構造式の読み取りを可能にし、文献内の画像情報とテキスト情報を統合して化合物に関する情報を自律的かつ網羅的に抽出できる。化合物名だけでなく、用途、物性、製造方法、実験条件などの情報も同時に取得可能となっている。
さらに、必要に応じて外部の化学データベースやWeb検索情報も参照しながら、より包括的な化合物情報の出力を実現している。レポート出力機能も搭載されており、研究者のニーズに合わせて整理された調査結果をレポート形式で提供し、後続の分析や意思決定を支援する。
初期の検証段階においては、本システムの導入により文献調査時間が80%以上削減できる効果が確認された。従来1カ月程度要していた文献調査が、1日程度に短縮された事例も報告されている。これにより、研究者はより創造的な研究開発活動や分析に注力できるようになるという。
三井化学は、今後も最先端のデジタル技術活用を進め、研究開発現場の効率化やイノベーション創出を目指す方針である。今回の生成AIエージェントを活用した自動文献調査システム導入によって、化学分野における知識管理や新規事業探索の高度化、競争力強化につなげていく考えを示している。
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