Teradataは、経営幹部およびAIリーダー500名超を対象に実施した最新調査の結果を発表した。同調査では、顧客体験(CX)向上を狙うエージェント型AIへの取り組み状況、ROI期待、運用上の障壁などを多角的に分析している。
調査結果1:AIはすでに“常識”に、エージェント型AIにも高い関心
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企業の99%が何らかの形でAIを導入し、2/3が「6カ月以内に成果を実感できる」と回答。エージェント型AIを検討・評価・試行中の企業は85%にのぼり、そのうち9%が本格導入を完了している。探索から実装へ移行した企業では81%が「非常に/極めて高い」信頼感を示し、自律化への期待がいかに高いかがわかる。
多くの企業がチャットボットやパーソナライズされたレコメンデーションなど、限定的なエージェント型AIをすでに活用。今後は顧客の行動予測や問い合わせ自動対応を360度で一気通貫に行う「全方位的AIエージェント」の採用が拡大し、CX全体の最適化に向けた移行が進むと見込まれる。
調査結果2:積極投資の動向とROI期待
75%以上の企業がエージェント型AIへの支出増加を計画。50%超がCX施策で年間100万ドル以上の収益またはコスト削減を見込んでいる。さらに36%は250万ドル以上の成果を期待し、高投資・高リターンという新たなフェーズに突入している。
企業は、まずパイロットプロジェクトに予算を割り当て、成功事例を社内に展開する「段階的拡大モデル」を採用。ROI分析では、導入初年度から半年以内に成果が可視化されるケースが多く、エグゼクティブ層も意思決定を後押ししている。
調査結果3:ガバナンス構築・データアクセス・スキルの壁
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93%がAIガバナンスに課題を抱え、年商200億ドル超の企業では42%が「重大な課題」と回答。データの正確性(34%)がセキュリティ(32%)をわずかに上回り最大の懸念となっている。適切なデータを迅速かつ一貫して提供できると回答した企業は4%にとどまり、96%が遅延や不整合を経験。また、AIイニシアティブ推進に必要スキルをすでに保有している企業は13%のみで、社内教育や外部人材活用によるスキル獲得が急務となっている。
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ガバナンスでは、AI倫理やプライバシー、アルゴリズムの透明性を担保するための明確なポリシー策定が必要。データ面では、データレイクやデータファブリックといった最新アーキテクチャを活用し、リアルタイムでのデータ供給体制を整備することでエージェント型AIの精度と信頼性を高められると考えられる。
調査結果4:組織内で高まる“実証主義”と懸念の声
法務・コンプライアンス部門、IT/セキュリティ部門の各75%がAI導入に懸念を表明。経営層でも55%が懸念し、2.2%は「全く懸念なし」と回答した。35%が「まず実証された後に導入」を志向(2024年比13ポイント増)、55%は「早期参入で競争優位構築」を重視している。
企業は過度な先行投資リスクを避ける一方で、ベンダーやパートナー企業との共創によるPoCで安全性と効果を検証。成果が確認された段階でスケールアップを図るアプローチが主流となりつつある。
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