シンギュラリティを前提とした「イノベーション・マインドセット」
牧野:
商用ベースになっている技術の多くは、マシンラーニング(機械学習)の領域から出ていませんが、ディープラーニング(深層学習)の研究はずいぶん進んできていますね。
スラン:
Google XのGoogleブレインというプロジェクトは、膨大なデータを使ってディープラーニングの演習をしています。AIはデータありきで、大量のデータがあってこそ機械は人よりも賢くなれるわけです。
企業の多くが、莫大なデータを抱えていながらそれをどうすればよいかわからないという状態かもしれませんが、ビッグデータはチャンスです。企業がデータの価値を理解し、革新的な形で使い、ディープラーニングを実行すれば、他社に対して優位に立てます。
牧野:
日本のビジネスパーソンが人工知能の普及によるシンギュラリティに向けて、意識しておくべきこと、ただちに行動しておくべきことについて、メッセージをいただけますか。
スラン:
AIはSFではなく、リアルに起こっている現実です。たしかに既存のビジネスを破壊するものではありますが、その可能性に心を開いてください。
たとえば最近、無料で株の取引ができるアプリができました。これは金融業を大きく破壊するでしょう。技術のみならず、既存のビジネスモデルもまさに破壊されようとしている。それを鋭敏に認識する必要があると思います。
イノベーションに自由と資金を与えましょう。企業本部のコーポレートセンターのようなところで、イノベーションをやろうとしないこと。いろんな意見が飛び交って、前に進みません。小さく密かに、トライアルベースで進めるのがよいでしょう。
セミナー概要
- スピーカー(オープニングスピーチ、対談):
牧野正幸 株式会社ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高責任者 - スピーカー(対談):
セバスチャン・スラン Google X 創設者、現Udacity共同創業者兼CEO - 主催:ワークスアプリケーションズ
- 日程・場所:12月10日・グランドハイアット東京