2025年12月15日、Perplexityとハーバード大学の研究者は、AIエージェントが実際の利用環境でどのように活用されているかを明らかにする世界最大級の大規模研究を共同で公開した。本研究ではCometおよびComet Assistantのユーザーによる数億件の匿名化インタラクションデータを統計的に分析し、AIエージェントの現状と活用傾向を可視化した。すべてのデータは個人が特定されない形で分析されている。
調査では、AIエージェントの活用のうち57%が認知タスクで占められていることが明らかとなった。内訳は、生産性やワークフロー向上が36%、学習やリサーチ支援が21%であり、AIが人間の思考や判断を補完する「思考のパートナー」としての役割を担っている状況が浮き彫りとなった。実際の利用例としては、調達担当者による事例分析の下調べ、学生の講義内容理解の補助、金融担当者による株情報の整理や分析など、業務や学習の現場で情報収集や要約・整理の自律支援に用いられている。ユーザーはAIから得た情報をもとに最終的な判断を行う構造が一般的である。
また、AIエージェントの利用傾向については、当初は旅行計画や雑学調査などリスクの低い領域から始まり、その後ビジネスレポートの要約やコードデバッグなど、より高度な業務へと用途が移行する傾向が観測された。これにより、AIエージェントが徐々に娯楽用途から実用ツールに定着しつつあることが示唆されている。
誰がAIエージェントを活用しているかに関しては、導入者数以上に日常的な活用の深さが鍵となることがわかった。全利用のうち6つの主要職種が70%を占め、特にマーケティング、営業、マネジメント、起業家などの分野では利用強度が高かった。また、職種や業界による使われ方の違いも明確で、金融職は生産性タスクに47%、学生は学習・リサーチで43%を活用していた。デザイナーやホスピタリティ業界では、領域特有のニーズに応じてAIが使われている。
本研究は、AIエージェントが労働を単純に代替する存在ではなく、高度な判断や創造的作業の支援を行う「ハイブリッド・インテリジェンス経済」への移行段階を裏付けるものといえる。今後はAIと共に考え、創造する新しい働き方への経済全体の適応が問われている。
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