2026年1月5日、M&A Onlineが発表した2025年の日本M&A市場のサマリー(暫定値)によると、適時開示情報を基にしたM&A件数は1,344件となり、前年比10.1%増加した。これにより、2008年の集計開始以来、5年連続で過去最多を更新した。
取引総額も前年比93%増の20兆3,870億円に達し、これは武田薬品によるシャイアー買収があった2018年(13兆8,437億円)以来7年ぶりの歴代最高となった。トヨタグループによる豊田自動織機の非公開化や、ソフトバンクグループによる米国アンペア・コンピューティングの子会社化など、大型案件が増加したことが金額を押し上げた。
2025年の主要案件では、トヨタグループが約4兆6,840億円で豊田自動織機をTOBにより非公開化し、M&A史上でも極めて大きな金額となった。ソフトバンクグループは、半導体設計会社アンペア・コンピューティングの子会社化(9,730億円)、スイスABBからのロボティクス事業取得(8,187億円)など、成長分野への投資を本格化させている。
M&A市場の特徴として、「選択と集中」の動きが目立ち、大企業が非中核事業を切り離して中核事業に経営資源を集中させる傾向が強まった。セブン&アイ・ホールディングスによるスーパー事業の売却(8,147億円)、三菱ケミカルグループの田辺三菱製薬売却(5,100億円)などが代表例である。
また、国内市場の成熟化を背景に、企業は成長機会を海外に求める動きも加速した。アサヒグループホールディングスは英国Diageoから東アフリカ事業を取得(4,654億円)、NECは米CSG Systems Internationalの子会社化(4,447億円)を実施するなど、各業界で海外展開が進展している。
さらに、投資ファンドの存在感が一段と高まった。金額上位20件のうち8案件で海外投資ファンドや国内大手ファンドが関与し、企業の非公開化や事業再編、カーブアウトなどで積極的な役割を担った。
日本企業のM&A活用は組織変革・新規事業開発の手段として定着しつつあり、今後もグローバル競争の中で多様な業界で取引が活発化することが予想される。
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