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CVCの常識、非常識

スズキ・THK・浜野製作所に学ぶ、日本流オープンイノベーション「ベンチャー・サービサーモデル」とは?

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【事例】製造業以外のベンチャー・サービサーモデル

 自社の強みを提供するベンチャー・サービサーモデルは、製造業以外にも広がりを見せている。不動産デベロッパーによるインキュベーション施設運営もその一種だが、さらに他の産業の事例を見ていく。

1:ベクトル(広告・PR)

 ベクトルは積極的なCVC投資に加え、本業であるPR支援を提供して収益化している。プレスリリース作成やメディアリレーション、SNS運用など広報活動全般を専門チームが支える。この支援活動から、スタートアップ専門メディアや投資家名鑑といった自社の新規事業も生まれており、投資と本業のシナジーを発揮している。

2:日本通運(物流)

 日本通運は国内外の物流インフラや知見を活かし、スタートアップを支援している。物流現場でのPoC、データ提供、顧客マッチングなどの機会を提供し、産業構造転換に対応した新事業検討につなげている。陸海空の現場課題や輸送網へのアクセス、物流ビッグデータなど多面的なリソースを提供するモデルを実践している。

3:KDDI(スイングバイIPO)

 大企業とスタートアップの新たな関係として「スイングバイIPO」がある。これはスタートアップが大企業の傘下に入り、そのアセットを活用して成長した後にIPOを目指す出口戦略だ。KDDIによるソラコムの買収・上場が代表例である。

 単なる金銭的利益目的の売却とは異なり、スタートアップ起点の成長支援が根幹にある。大企業はバックオフィス機能や知財ノウハウ、顧客基盤を提供し、経営者が事業成長に専念できる環境を整えることで、早期のIPOや自社の事業ポートフォリオ拡大を実現している。

 本稿では日本企業がイノベーションを創出するには、自社の強みやオペレーションを活かしてスタートアップを成長させ、収益を得るベンチャー・サービサーモデルが重要なことを解説した。

 その推進には、提供可能な自社機能の「棚卸し」と「マインドセットの変革」が必要だ。スタートアップへの機能提供は、従来の特定部門間の取引とは異なり、スタートアップ経営と相対する意思決定となるため、スピード感や提案の視点を変える必要がある。シリコンバレー流とは異なる、日本独自の既存企業とスタートアップのエコシステム構築を国や産業全体で仕組み化し、意識改革と機能シフトを促していくことが求められている。

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この記事の著者

小宮 昌人(コミヤ マサヒト)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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