【事例】製造業におけるベンチャー・サービサーモデル
ここからは、実際にベンチャー・サービサーモデルを実践している製造業の事例を紹介する。
1:スズキ(SkyDriveへの製造能力提供)
スズキは「空飛ぶクルマ」を開発するSkyDriveと戦略的提携を行っている。技術開発、生産システム構築、海外市場開拓など多岐にわたる協業を進め、スズキにとっては自動車などに続く第四のモビリティ事業の開拓機会となる。
具体的には、静岡県の自社工場を活用し、年間最大100機の製造を目指してSkyDrive側が量産体制を構築している。無駄を省くスズキ流のモノづくり哲学が、設計・製造プロセスに活かされている好例だ。
2:THK(EntSherpa)
大手機械要素部品メーカーのTHKは、スタートアップ向け技術支援サービス「EntSherpa(アントシェルパ)」を展開している。長年蓄積した知見を基に、専門チームがアイデア具現化から製品選定、海外工場網を活用したグローバル量産展開までを支援し、ハードウェア特有の課題解決をサポートする。農業ロボットのinaho社や義足のBionicMなどが活用しており、THKにとっても自社製品の市場創造の好機となっている。老舗メーカーが伴走する良質な取り組みと言える。
3:浜野製作所(Garage Sumida)
ベンチャー・サービサーモデルは大企業に限らず中堅・中小企業にも好機がある。金属加工の浜野製作所は、インキュベーション拠点「Garage Sumida」を立ち上げ、下請けからの脱却を果たした。設備を持たないスタートアップに対し、設計から組立、調達まで一気通貫で支援し、アイデアの製品化を伴走する。オリィ研究所やWHILLなど多数の成長を支えてきた。
注目すべきは、この運営が自社の新たな収益源となるだけでなく、難度の高い先端技術への挑戦を通じて技術領域の拡大や社員のスキル向上をもたらし、スタートアップから学ぶ好循環を生んでいる点である。
