日立製作所は2026年4月16日、オープンイノベーションによるAI創薬を推進するため、新たな「秘匿AI基盤」を開発することを発表した。AI創薬スタートアップのMOLCUREとの協創を本格化し、機密性の高い研究データとAIモデルを、お互いに開示せず安全に連携できる新たな仕組みを創薬業界向けに提供する。

本基盤には日立の秘匿情報管理技術と、医薬・IT・AI活用のドメインナレッジが活用されている。これにより製薬企業やアカデミアが保有する研究データと、MOLCUREなどが持つAI創薬モデルを相互に守りつつ、安全なAI利活用と創薬プロセスの効率化が可能となる。
日立とMOLCUREは既に、データとAIモデルを秘匿した状態で安全に学習および推論ができることを、概念実証(PoC)を通じて確認した。2026年度からは、本基盤をベースとした「オープンイノベーション創薬基盤サービス」としての提供を見込み、検討を進めている。サービスはまず、MOLCUREが強みを持つ抗体分野から開始し、将来的には核酸やペプチドなど多様な医薬モダリティへの拡大を目指す。
本サービスは、複数の製薬企業やアカデミア、スタートアップが自社データやAIモデルの機密性を保ったまま、共通の計算環境でAIの学習や推論を実行することを可能にする。背景には、医薬品開発において研究開発費の高騰や成功確率の低下、開発期間の長期化などがあり、AI創薬による効率化への期待が高まる一方、データとAIモデルの共有や連携には機密性担保の課題があった。
本基盤には高度な暗号化やTrusted Execution Environment(TEE)を活用した日立独自の技術を採用。データやAIモデルは乱数化や隔離された環境下でのみ活用され、物理的・経済的なリスクを低減する。これにより、複数企業による共同研究で知的財産の混入や流出リスクも最小化できる。
日立は本サービスを産業分野向けソリューション「HMAX Industry」を支えるサービスとして位置づけ、今後はバイオ医薬分野のコンソーシアム拡大や、オープンイノベーションのさらなる促進を見込む。2026年4月の「ファーマIT&デジタルヘルスエキスポ2026」日立ブースでもサービス内容を紹介予定である。
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