モノやサービスがミクロ単位でシェアされる時代-その裏側で連動する「お金の動き」を支える
“Fintechの中核”と評される「ブロックチェーン技術」。その理由について、増島氏は「経済活動を大きく捉えると見えてくる」と語る。
近年、世の中の仕組みは、分散型または非中央集権型へと大きく変化している。情報やコミュニケーションはもちろん、IoT や自動運転によるモノや施設のシェアリング、自然エネルギーやスマートグリッドで実現するエネルギーのシェアリングなど、誰もがその変化の潮流を体感しているはずだ。その変化のためには、まずはネットワークのスマート化技術が必要だが、加えて見逃されがちな条件として、対価である「お金の移動」も重要になってくる。
増島氏はこれを「実態経済の裏表」と表現する。たとえば、AからBにモノやサービスが動くということは、BからAにお金が動いているということ。スピーディでミクロ単位でモノやサービスが動かせるとなれば、それと”同時に自動で”お金も決済できる必要が生じる。それを実現するのが「ブロックチェーン技術」というわけだ。
「裏表がスムーズに動けば、電力1KW、音楽一曲といったミクロ単位でのシェアリングも可能になり、ビジネスイノベーションの原動力となる」と増島氏は力説する。
しかし、お金が動くとなれば、そこには「契約」が必要だ。 AからBへの送金指示に条件をつけ、満たされたら決済されるとすれば「契約」になる。それがブロックチェーンの中で行われる「スマートコントラクト」だ。
森・濱田松本法律事務所 パートナー 増島 雅和 氏
金融機関のM&Aとガバナンスに関するコンサルティング業務を主力に、リスクマネー供給とオープンイノベーションの取組み支援を通じ、エコシステム型ビジネスモデル普及のための法制度・実務インフラの確立を目指して活動する。情報技術が金融業を含む全ての事業に破壊的インパクトを与えつつある中、革新的なビジネスモデル創造を目指す新興企業や、協業を通じ自社のビジネスモデル革新を目指す既存企業に向け法務戦略パートナーとして、新たな価値を共創する。