2026年7月29日、KPMGコンサルティングは、日本国内の企業・公的機関におけるAI利活用とガバナンスの現状をまとめたレポート「AIの利活用・ガバナンス等の動向調査」を発表した。本調査は経営者・役員・従業員・職員2,788名を対象とし、AI活用状況やガバナンス体制、関連するリスク認識について業種ごとの傾向を分析している。
調査によれば、通信・情報サービス・製造(電機機器等)などTMT業界での生成AI活用が他業種に比べて先行している。これらの業界では、勤務先が契約するサービス以外のAIの利用が認められる企業が約3割に達し、利用の柔軟性拡大がみられた。一方で、フィジカルな業務の多い業界や官公庁・自治体ではAIサービスへのアクセスが制限される傾向が強い。
業務効率化については、通信業・情報サービス業・製造業(電機機器等)、金融・不動産業など約6割で全社的なAIガイドラインやルールが整備されており、活用に伴うリスク管理が進行している。組織内に明確な利用指針を持つ事業部や部署では「業務量が減少した」との回答が約4割に達し、ルール未整備組織との差は約17ポイントとなった。ガバナンス体制の整備が業務効率化の鍵であることが示唆される。
一方、AIによる職業代替リスクについては全体の約18%が懸念を表明した。ただし、映像・音声制作業や専門サービス業、一部製造業・小売業においては懸念の割合が高かった。日本では慢性的な人手不足もあり、AI活用を労働力補完と捉える傾向も見受けられる。
また、AI活用に関するデータ主権リスクも明らかになった。全体の35.4%がAI入力情報の意図しない利用に対してリスクを認識しており、特に金融・不動産業や電気・ガス・運輸業でその傾向が強い。機密性の高い情報の取扱いに細心の注意が求められる分野で意識が高まっていることがうかがえる。
さらに、約14%が業務情報を私的生成AIに入力する「シャドーAI」利用を経験し、65%がバイブコーディング(生成AIによるプログラミング)で内容を十分理解せず活用した経験があった。生成AIの普及が進む一方で情報漏えいやセキュリティ、ガバナンス体制強化の必要性も顕在化している。
本調査は、AI利活用が企業・組織の競争力や業務効率化に直結する一方で、リスク管理やデータ保護、従業員教育といったガバナンス強化の重要性を浮き彫りにしている。業種や企業規模による差異を踏まえた適切なルール設計と運用が求められている。
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