“顧客のジョブ”視点で市場規模を見積る、新規事業の利益計画「リバース財務ツリー」

第9回:ビジネスモデルの収支を検証/シミュレーションする

 ハーバード・ビジネス・スクール競争戦略研究所のジョアン・マグレッタ女史は、失敗するビジネスモデルはストーリーテスト(話の筋道が通っているか?)、あるいはナンバーテスト(収支が合っているか?)のどちらにも合格しないものである、とかつて語っていました。今回は、後者のナンバーテストを検証/シミュレーションするための有効なツール「リバース財務ツリー」について触れていきましょう。

[公開日]

[著] 白井 和康

[タグ] ビジネスモデル 不確実性 ビジネスプラン 仮説指向計画法 リアルオプション

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利益から財務構造の健全性を検証していく

 リバース財務ツリー(正確には、逆損益計算書)は、仮説指向計画法 注1)いう手法の中で紹介されているツールです。仮説指向計画法は、不確実性の高い環境下において、ビジネスモデルに関する多くの仮説をテストしながら、その事業に対する投資を早い段階で検証していくことを目的として活用されるものです。

 仮説指向計画法と一般的なビジネスプラン(事業計画)の違いは、前者が不確実な状況についての仮説に基づく学習に重点を置くのに対し、後者は計画に対していかに実績を近づけるかという点に重点を置くものです。ビジネスプランとビジネスモデルのデザインの相違は第1回目の記事でも触れましたが、仮説指向計画法はビジネスモデルのデザインにフィットするアプローチと言えます。

 損益計算書は最後に利益を計算しますが、リバース財務ツリーは当面の目標とする利益からスタートし、因数分解していくことによって、その利益を生み出す要素を明確にしていくプロセスを採用します。利益はまず収入(または売上)とコストに分解され、収入とコストは各々を構成する要素にさらに分解されていきます(図1)。

リバース財務ツリー図1. リバース財務ツリー 注2)

 これらの要素のうち、値が確定していないものはすなわち仮説であり、その変動幅(基準値、最小値、最大値)を定義しておきます。また、組織内部で決定できる変数に関するものは内部仮説、組織内部でコントロールすることができない外部環境に起因するものは外部仮説と呼ばれます。このような準備をしておくことで、新しく得られた情報をベースに、Excelなどの表計算ソフトを使いながら反復的にシミュレーションを行うことが可能になります。

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