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「複業」という生き方

サイボウズ/ダンクソフト中村さんが副業ではなく「複業」という働き方を選んだ理由

第1回:中村龍太さん インタビュー【前編】

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 テクノロジーの進化によるワークシフトやライフスタイルの多様化から、昨今、働く場所や時間にとらわれない「働き方」が受け入れられるようになってきました。今回のインタビュー連載では、パラレルキャリアの中でも、「本業+副業」ではなく、「本業+本業」という“複業”を実践している方々に登場いただき、実例を通して、どのようにして自分に合った働き方、生き方を見つけていくかを探っていきます。  今回は、NEC(日本電気)やマイクロソフトなどの大手企業を経て、2013年10月から2つの会社で同時に働き、「複業家」を名乗っていらっしゃる中村龍太さんにお話をお伺いします。

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「本業+副業」ではなく、2つの本業を持つ「複業」という働き方

――まず、龍太さんが働いている2つの会社について教えてください。

中村龍太さん(以下、敬称略): マイクロソフトを退職後、サイボウズとダンクソフトという2つの会社で働いています。どちらもIT業界ですが、サイボウズは企業向けのソフトウェアを開発する会社で、ダンクソフトはそうしたソフトウェアを使ってシステムを作る会社です。たとえると、前者は建設資材メーカーで、後者は土建屋ですね。どちらが本業、副業というわけではなく、僕にとってはどちらも「本業」。そのため、現在の状態を説明するのに、「複業」という言葉を使っています。

――それぞれの会社では、どのようなお仕事をなさっているのですか。

龍太: サイボウズでやっているのは、3年後の事業を開発するために、自社サービスを使った面白い事例を開拓することです。目標を何件と決めていて、それをクリアするために、自分で計画を立てて、ノートパソコンひとつで、あちこちを移動して仕事をしています。
 一方、ダンクソフトとの契約は、ペーパーレス事業関連で、年間1千万の商談を見つけてくることです。ただ、入社してみて想像と違ったのは、注文を取って来たときに、それを実行できるスタッフや体制がいないことでした。だから、この2年間は、体制づくりも一緒にやっています。もともといらっしゃる方にコーチングをしたり、新しいスタッフを2人採用したりしました。

――実際に働く時間の配分はどうなっていますか。

龍太: 月曜日はダンクソフトに出社し、それ以外はサイボウズにいます。ただ、時期にもよりますが、実働している時間は、サイボウズ:ダンクソフト=6:4ぐらいですね。サイボウズのオフィスにいながら、ダンクソフトの仕事をしていることもあります。「今はこの仕事だ」と思ったら、ぱっと頭を切り替える。物理的にオフィスが移動するわけではないですが、パソコンの画面が変わる。瞬間ごとに、今、自分がどの仕事をするべきか意識しています。

――サイボウズとダンクソフトは、龍太さんの働き方を把握しているのでしょうか。

龍太: もちろんです。ご存知のとおり、サイボウズは、早くからワークライフバランスを重視した人事制度に取り組んでおり、社員の在宅勤務や副業を認めていました。ただ、働き方という点では、ダンクソフトも負けてはいない。業務内容に「新しい働き方インテグレーター」を打ち出しているほど、最先端を走っています。そのため、両社とも、僕の「複業」の提案を快諾してくれました。
 実は、僕は入社前に、サイボウズとダンクソフトの社長、僕との三者で話し合う機会をいただけました。サイボウズからのオファーを受けるために会社に出向いたとき、ダンクソフトの社長に近くのカフェで待っておいてもらいました。そして、サイボウズの社長に「複業」のもう1社がダンクソフトであると伝えたところ、「(社長さんに)会いますよ」と言ってくれたので、引き合わせたというわけです。その方が、面白いことが起きるんじゃないかと思ったんです。結果的に、自分の「複業」のスタイルもかなりやりやすくなりました。

――どちらも時間の制約がない仕事ですが、日々の商談はどんな感じでやっていらっしゃるんでしょうか。

龍太: もちろん、サイボウズ宛にきた話ならサイボウズ、ダンクソフト宛にきた話ならダンクソフトの名刺を出して、その商談を行います。ただ、最初はサイボウズから入っても、「こんなサイボウズの開発事例がありますよ」とダンクソフトを紹介したり、ダンクソフトの商談の途中から「この使い方ならサイボウズのソフトを使いませんか」と話したりすることも。だから、どちらの仕事で会う方も、僕が何枚の名刺を持っているかご存知ですね。

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