価値提案、コンピタンス、リソースを有機的に結合する
さて、今度は価値提案の拠り所を探っていくことにしましょう。価値提案(オファー)、コンピタンス、リソースの順に検証していくことになります(図表7)。
ウォルマートを例にとって考えてみましょう。ウォルマートの価値提案の1つであるエブリディ・ロープライスは、「金銭価値」という価値論拠をもっています。それは、「物流統制力」というコア・コンピタンスであり、コスト効率を目標とするものです。さらに、その物流統制力は、「クロス・ドッキング」という仕組みをはじめとするさまざまなリソースを活用することによって実現されています。
さらに、現在のビジネスモデルを改善し、将来に向けて事業領域を拡大していくために、前回および今回ご紹介したコンピタンスとリソースの評価基準を軸にしたマトリクスをご紹介します(図8)。
たとえば、「顧客洞察力」というコンピタンスを競争優位の源泉とするとともに、将来に向けてビジネスを持続可能にするために、「顧客情報」というリソースを有効活用できるように蓄積できないか?といった具合に使ってみてはいかがでしょうか?
コンピタンスの定義手順
最後に、コンピタンスの定義手順を整理しておきましょう(図表9)。
- 主要な価値提案とそれに関連するターゲット顧客、チャネル、顧客リレーションシップを選択する。
- その価値提案を提供するために依存している主要なコンピタンスとリソースの概要を説明する。
次回は、オペレーション基盤の2つ目の要素である「価値構成」についてご説明いたします。
(参考資料)
- 「ブランド・ランキング」
- 「特許ランキング」
- 「評判ランキング」
- 『コア・コンピタンス経営』(日本経済新聞社)