ブランド・特許・評判のリソースは使ってナンボ
ブランド、特許、評判のトップ企業
さて、ここで知的リソースにおいて突出している企業をご紹介したいと思います(図表5)。
ブランドに関してはワールドランキング、特許と評判に関しては米国ランキングという指標があり、いずれも第三者評価機関による昨年のランキングからトップ5をピックアップしてみました。案の定というか、おなじみの企業ばかりですね。特許では日本の企業も貢献していますし、ブランドではトヨタが10位に入っています。
ブランドについては、財務力、ブランドが購買意思決定に与える影響力、ブランドによる将来収益の確かさという観点から金銭的価値に変換して評価されています。特許については、出願人による権利化への意欲、審査官や競合他社からの注目度によってスコアリングされています。評判については、社会的責任、情緒訴求、業績、プロダクトやサービス、ビジョンやリーダーシップ、労働環境という評価基準からスコアが算出されています。
リソースは有効活用されてはじめて価値をもつ
リソースを持っているだけでは、競争上の優位性を提供することはありません。また、リソースのサイズが大きければ良いというわけでもありません。最も重要なことは、より少ないリソースでより高い価値提案を生成する能力、つまりコンピタンスにあります。ここでは、リソースを効果的かつ効率的に活用する5つの方法をご紹介します(図表6)。
1:リソースの集中
1つ目は、価値提案を構成するなかで最も顧客が重要視し、企業側が差別化もしくは競争優位を獲得できるオファー要素にリソースを集中することです。たとえば、ナイキはリソースの多くをプロダクトのデザインとマーケティング活動に集中させています。
2:リソースの蓄積
2つ目は、特定の情報、知識、ノウハウといった知的リソースを蓄積し、学習効果と効率を高めることです。失敗から学ぶことも重要です。P&Gでは、従業員に対して「早く安く失敗しろ」と勧めているようです。
3:リソースの貸借
3つ目は、サプライヤー、パートナーといった外部の協働ネットワークを通じてリソースを借りたり、余剰のリソースを外部に貸したりすることです。アマゾンが自社のプラットフォーム基盤をクラウドサービスとして貸し出しているのは良いお手本となります。
4:リソースの再利用
4つ目は、特定のリソースを幅広い最終プロダクトやサービスに再利用できるようにすることです。ホンダやキャノンが保有している技術的なリソースだけでなく、ディズニーのようにブランドをさまざまなプロダクトに展開しているケースも含みます。これは「利益増殖モデル」と呼ばれることもあります。
5:リソースの回収
5つ目は、リソースを投下してから収益の獲得というかたちで回収するまでの期間を迅速化することです。メーカーであれば、バリューチェーンを高速化することにあります。ファッションメーカーのZARAが近年における成功モデルですね。