マイクロソフトの「エバンジェリスト」はどんな職種なのか?
マイクロソフトが2016年に買収したクロスプラットフォーム開発ツール「Xamarin」を無償公開したことは、技術者たちに大きな驚きと賞賛とともに受け入れられた。技術者たちの「開発者、クリエイターのためのマイクロソフトが帰ってきた」という言葉の裏には、マイクロソフトのここ数年での大変革が存在する。
「自社の技術が全て」と考えてパッケージソフトの販売をしていた時代から、今はオープンでマルチデバイスに対応し、テクノロジーを活用してより多くの人に価値をもたらそうとしている。この変化の鍵を握っているのが、マイクロソフトに在籍するエバンジェリストたちだ。
テクノロジーの世界はどんどん変わっていきます。私たちエバンジェリストは、新しいテクノロジーを最初に受け止め、それを社内外の技術者に、セミナー、ハッカソン、SNSなどの様々な手段で啓蒙していく。マイクロソフトで一番ギークなのが、私たちエバンジェリストなんです(笑)。
この大きな変化のきっかけは、7年ほど前から推進している「開発組織の変革」にある。開発体制を従来のウォーターフォール型からアジャイル型やスプリント型に変更し、3年に1度パッケージ販売をする売り方から、3週間に1度アップデートを行うクラウド型の開発プロセスに移行した。
このように会社が大きく変わる時には、新しいリーダーが必要になる。2014年に、スティーブ・バルマー氏に代わってCEOに就任したのが、サティア・ナデラ氏だ。ナデラ氏はインド出身の技術者で、より柔軟な組織づくりを目指している。組織と開発プロセスを7年かけて変え、その後に新CEOのリーダーシップによって社内文化が変わり、マイクロソフトはクラウド&モバイルファーストを推進することに成功した。
この大変革期の中で、エバンジェリストはテクノロジーとカルチャーの両方で、その変化を先導する役割を果たしている。