ラベンダー畑から投稿する人たちとは
岡崎 やはりデータで見ると思いもよらない発見がありますね。たとえば中国人が好きなのがラベンダーで、北海道と栃木県が有名ですが、彼らが投稿している自撮り写真と移動データを可視化して見ると、いろいろと企画が考えられます
中土井 仰る通りです。私が調べた結果を言うと、浜松フラワーパークと足利フラワーパークとひたちなか海浜公園。これがお花畑の宝庫なのです。実はそこを周遊する方が多いのですね。そこでの情報発信は「微博」(ウェイボー)が中心なのですが、最近、中国ではどうなのですか?
岡崎 「微博」は、簡単に言うとツイッターなので、情報を広めるには良いのです。しかし、一番はやはり「微信」(ウェイシン)ですね。つまり情報を友達サークルの中でシェアするというのが今の中国のやり方なので、ここで発している情報が取れると一番です。中国以外だとアジアを含めてインスタグラムが強いですね。
中土井 日本に滞在して、かつGPSで緯度経路情報を取得出来ている人の月間、6〜7万件のツイートの情報があるですが、すべて投稿した場所と、写真のURLがデータとして公開されています。先ほど話題のラベンダーが本当に人気があるのか、投稿された画像を見ると分かる。自撮りをした写真まで見えてしまうので、ドキッとしてしまいますが。
岡崎 公開しているものは「見てくれ」というのがグローバルスタンダードですからね。
中土井 単にそこに居ただけではなく、Facebookにせよインスタグラムにせよ何かを上げるということは喜怒哀楽の感情が発生するということです。他とは比べものにならない影響力が発生するエリアと考えると少し違うと思います。
各自治体などが「ここに来て欲しい」という、観光スポット100選などを出していますが、こうしてデータで分析した実態とは必ずしも合致していません。
岡崎 そうですね、今までのやり方ではお役所仕事の判断になります。そうではなく、訪日客は自分たちで行きたいところを見つけて行動しているので、そこを新たな観光スポットにすればいいのです。
「なぜそこに行くのか」を考える
中土井 今我々が提案したいと思っているのは、なぜそこに行っているのかをデータから分析することです。参画している企画が面白いのか、彼らが魅力を感じる要因は何なのか、ニーズを見極めていくという所です。
岡崎 発信内容が分かるというのはすごく面白いですね。今までの発想だと、たとえば日本の情報を海外に届けようとすると日本を紹介する番組を作って、海外のメディアに発信しようというものになりがちです。
そうではなく、日本にはすでに海外からの留学生、仕事をしている外国人が沢山います。彼らにどんどんソーシャルでアップしてもらうと、自分たちの言葉で発信するから翻訳が要らないし、かつ日本の生の情報を海外に発信してくれる。むしろ日本にいる外国人に、無償でそういうことをしてもらった方が良いのではないか、と考えていたのですが、これはもはや必要ない。
たとえばタイ人が北海道に行って「これはいいよ」と発信してくれていることを把握出来る。今、どういう情報が共有されたかが分かる。これはものすごいことなのです。では、こうしたデータをどう使うかですね。
中土井 インバウンドのビジネスは2020年ぐらいまでは、まだまだ可能性があると思っています。その先の戦略という意味では、それまでにちゃんとしっかりと日本の企業が海外に出て、海外の市場でどうビジネスを獲得していくのかというところがやはり重要でしょう。
本日は、有意義な対談を行うことができました。ありがとうございました。
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