人工知能をERPに活用するために求められる“プラットフォーム化”
講演では、実際にHUEの導入した企業担当者が登壇し、導入事例が紹介された。商船三井システムズ株式会社では、商船三井グループの人事システムとして「COMPANY」を採用しており、その後継として今年9月よりHUEの導入を決定したという。代表取締役社長の嶋延修氏は「新しい挑戦と言うが、無謀なことをしているつもりはない。来る未来に先駆け、HUEがどのような価値をもたらすのか、期待した効果を確認し、グループ各社へと広げていきたい」と語った。
また、次期会計システムにHUEを採用することを決定した、鹿島建設株式会社 執行役員の内田顕氏は「まだまだ導入プロジェクトを立ち上げたばかりだが、HUEの価値を実感しつつある。“100年をつくる”建設会社のシステムとして、HUEも100年をつなげるものとなってほしい」と期待を寄せた。
こうしたユーザー企業からの期待を受けて、牧野氏は「事業を改革するのは人工知能ではない。人工知能を活用して人が新しい考え方や取り組みに挑戦することで可能になるもの。そのお手伝いをしたい」と語り、ソリューションベンダーとして各社への惜しみない協力を強調した。
なお、HUEについて「ERPに人工知能」という先進性を感じる人もいれば、「コンシューマサービスでは当然」という見方をする人もいるだろう。事実、GoogleやAmazonなどでは当然の技術であり、HUEはそれらをERP向けに採用しただけという見方もできる。しかし、人工知能をソリューションに取り込むには膨大な機械学習を可能とする巨大な分散システムが必要になり、それを1社で実現するのは、膨大なコストが必要だ。HUEがそれを現実的なコストで提供できるのは、多数のユーザーを抱えるベンダーだったからだという。
牧野氏は「また、実用化にはツール開発が重要なカギとなる。今後はHUEのプラットフォームを開放し、“Platform as a Service”としてツールを共有できるものとしたい。それによって、共存共栄が図れれば」とアピールした。この「HUE PaaS」は来春提供開始予定だという。