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「イノベーションのジレンマ」の大誤解

なぜ社内の“エース級人材”では新規事業が生まれないのか~「バリューネットワークの罠」

「イノベーションのジレンマ」の大誤解:第3回

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クリステンセン教授が『イノベーションのジレンマ』で指摘した、既存企業の硬直性とは?

 著者グループが“社員による新規事業開発”の支援させていただいている中で、典型的とも言える既存企業で起こるパターンが存在します。それは、ほとんどのビジネスアイディアもしくはビジネスプランは、「新規事業開発」ではなく「新商品・新製品・新サービス開発」の域を超えないということです。もっと言うと「業務改善」であったり、「要素技術の説明」であったりする場合も多くあります。社員の方は、真剣に新規事業を考え、「新商品開発プラン」「業務改善プラン」を書いてくるのです。

 その背景には、「社内の経営資源をどう活用するのか?」という既存企業の大命題が見えてきます。多くの場合、そのような上層部から“降りてくる”大命題を度外視して、新規事業を創造する習慣も経験も社員にはありません。もちろん、「商品開発」「業務改善」も大切な仕事で、それを否定しているのではありません。現在、多くの既存企業は、既存事業が頭打ちになっている中、次の収益の柱を探索するイノベーション創出活動に乗り出されているはずではなかったのか、ということです。既存社員で「新規事業開発」活動をすると、必然的に「商品開発」や「業務改善」に“無意識に”偏っていくのです。

 クリステンセン教授は、逸脱的イノベーションを含め大きな新規事業が生まれにくい伝統的な既存企業の硬直性を、『イノベーションのジレンマ』で以下のように説明をされています。

抜本的な新技術に対応するには、実績ある企業がつちかってきたノウハウとはまったく別のノウハウが必要になる。(第2章P59)

企業はバリューネットワークの枠組みのなかで顧客のニーズを認識し、対応し、問題を解決し、資源を調達し、競争相手に対抗し、利潤を追求する。(第2章P63)

企業は、あるバリューネットワークのなかで経験を積むと、そのバリューネットワークに際立ってみられる需要に合わせて能力、組織構造、企業文化を形成することが多い。(第2章P68)

バリューネットワーク

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鈴木 規文(スズキ ノリフミ)

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合田 ジョージ(ゴウダ ジョージ)

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村上 恭一(ムラカミ キョウイチ)

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