自律型人材の育成とは矛盾する「日本の現行の人事システム」。はたして、何が足りないのか?
──「自律」と言われると少し難しく感じますが、「依存先を増やす」ことならなんとなくできるような気がしますね。正能さんはいかがでしょう。
正能「私が思うのは、どんなに小さくてもいいから、自分の行動が、お金になるという経験を一度でもしてみるといいということ。私は自分の人生の主導権は自分自身にあると心から信じているんですが、そう自信をもって言えるようになったのは、大学生のときのある経験がもとになっているんです。
ちょうど会社を立ち上げたときの話なんですが、長野県小布施町の栗菓子を2,000個発注しちゃって、それを10日間で売りきらないといけないって状況に陥ったことがあって。そのときテレビの取材をしてもらったり、いろいろなメディアで発信したりして、なんとか自分たちで売り切ったんです。今思うと、全部売っても100万円くらいの売上にしかならないし、なんでそんなことでヒヤヒヤしてたんだろうって思うんですけど。
でもそのとき、自分の行動が、お金になるということを初めて実感したんです。そういうふうに、会社や組織に属さなくても自分の行動でお金をつくれると思える経験があると、いいんじゃないでしょうか」