競争が激化する航空業界のデータ活用戦略~ANAシステムズ幸重孝典氏が語る「デジタル・モバイルシフト」とは?
続いてはジェイムズ氏をモデレーターとし、ユーザーの一人として、ANAシステムズ株式会社代表取締役会長の幸重孝典氏が登壇した。そして、航空業界での直近20年にわたるデジタル・モバイルシフトの状況を紹介し、「欧米における統廃合や中東の航空会社の急成長など、業界としても激動の時代にある。その中でICT活用が生き残りに欠かせない要素になりつつある」と業界を取り巻く状況とデジタル化の重要性について語った。
実際、ANAのオンラインチケット販売は国内線で7割、国際線で2割に上り、インターネットが最大のチャネルであり、世界40カ国でWebサイトを立ち上げており、その把握も人力では困難となりつつある。そうした事情から、幸重氏は「ICTによる迅速性の向上は不可欠」と語り、「それでも最近はリアルタイムかつグラフィカルに予測と実際の差異がわかり、対策を打てるようになってきた。早くデータを分析し、早く分かって早く変えることが、企業の競争力につながると実感している」と実感を語った。
なお、ANAの経営陣がデータによる意思決定・行動をスムーズに行えるのは、10年にわたって継続的なICT活用を議論してきたからだという。その素地もあって、Domoは今年4月の導入以降、オンラインチケットのデータの活用を活性化させてきた。さらに幸重氏は「今後はマイレージやトラベルにまで広げ、顧客を多面的に見られるようなシステムに進化させようと考えている。そして経営層や管理層だけでなく、顧客に直接応対する一人ひとりまでもがデータを共有することで、新しいサービスの創出にまでつなげたい」とさらなるデータ活用に高い意欲を見せた。