完璧なリーダーを目指さなくてもいい── 組織の“成長痛”に効く「愚者風リーダー」のチームビルディング

第1回ゲスト:楽天株式会社 楽天大学 学長 仲山 進也 氏【前編】

 本連載は、組織開発ファシリテーターの長尾彰氏を連載ナビゲーターに迎え、長尾氏が著書『「完璧なリーダー」は、もういらない。』で提唱する「愚者風リーダーシップ」を実現するゲストとの対談を通じ、新たなリーダー像に迫る。
 第1回ゲストには、長尾氏と10年以上に渡ってチームビルディングの講座を開催している楽天株式会社 楽天大学 学長 仲山進也氏を迎え、参加者に体験を通じて気づきを促すファシリテーターという仕事や、リーダーシップの違いが組織に及ぼす影響などについて詳しくうかがった内容を全2回でお届けする。

[公開日]

[語り手] 仲山 進也 長尾 彰 [取材・構成] やつづかえり [写] 長谷川 梓 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] ワークスタイル 愚者風リーダーシップ 賢者風リーダーシップ ファシリテーター 宇宙兄弟

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たった4泊5日でバスケ部の2年半に匹敵するチームビルディングを経験し、ファシリテーターを志した

──長尾さんは、ファシリテーターという仕事にどのように出会ったのでしょうか?

長尾彰氏(組織開発ファシリテーター、以下敬称略):僕が19歳で大学2年生の時、足柄グリーンサービス(現在の社名は株式会社アグサ)という会社が山の中に野外教育の施設を作りました(注1)。アメリカの「プロジェクト・アドベンチャー」という非営利団体がやっていたプログラムをそこでやるから参加しないか? と誘われたんです。

そのプログラムは、自然の中でアドベンチャー、つまりやったことがないことにみんなで挑戦するという体験を通して、リーダーシップ、コミュニケーション、チームビルディングといったことを学ぶと同時に、その場にいる人たちの関係性も育むことができる、というものでした。

その時は、24人が2グループに分かれ、それぞれにアメリカ人の指導者がひとり付いていました。4泊5日のプログラムでしたが、自分が高校時代のバスケ部で2年半かけてつくりあげた良いチームの関係性が、それだけの期間でできてしまった。「これはいい!」と感動したんです。

プログラムの最終日、そのアメリカ人に「あなたの仕事、おもしろそう。なんていう仕事なの?」と聞いたら「ファシリテーター」だと。その足でその会社の事務所に行って「僕もファシリテーターになりたい。ここでバイトしたいんですけど」と頼み、当時住んでいた愛知から神奈川県の足柄に通うようになりました。

──現場に飛び込んで身体で覚えて行ったんですか?

長尾:そうですね。開業当時は小学生や中学生向けのプログラムをやっていたので、最初はそういうプログラムを任されて、だんだん企業研修もやるようになりました。でも、「ファシリテーターとは何か」ということは知らなかったんですよ。大きな書店に行って見つけた『ファシリテーター型リーダーの時代』(フラン・リース著 プレジデント社)という本を読んで、「ゲームをやって、それを振り返って──、ということを繰り返すのがファシリテーターじゃないんだ」と知りました。

さっきのアメリカ人に教えてもらって、「プロジェクト・アドベンチャー」の手法についてまとめられた本なども読みました(注2)。その本で、チームの発達段階やタックマンモデル(アメリカの心理学者タックマンが提唱した、チームの発達段階を4ステージに分けたモデル)、カウンセリングのことなんかも知ったんです。

長尾彰長尾 彰(ながお あきら)さん / 組織開発ファシリテーター
日本福祉大学卒業。東京学芸大学にて野外教育学を研究。体験学習研修会社、玩具メーカー、人事コンサルタントを経て株式会社ナガオ考務店代表取締役。複数の企業、行政、スポーツチームに所属しながら、20年以上にわたって2,000回を超えるチームビルディングをファシリテーションする。著書『宇宙兄弟 完璧なリーダーは、もういらない』。

注1:PAA21 http://paa21.co.jp
注2:『ISLANDS OF HEALING: A GUIDE TO ADVENTURE BASED COUNSELING』、『Exploring Islands of Healing: New Perspectives on Adventure Based Counseling』(いずれも、J・ショーエル他著)

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