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「インサイトフルな組織」とは?

「デザイン経営宣言」をインサイト視点で読んでみる──その発見方法を「観察」に限定してはいけない

第5回

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 前回は、政策・行政で注目されている行動経済学における「ナッジ(Nudge)」とインサイトの関係性を説明した。今回は、経済産業省と特許庁が発表した「『デザイン経営』宣言」に着目し、インサイトとの関連を明らかにしつつ、インサイトを探る方法論の観点から、その内容に関する評価と課題を明らかにする。

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インサイト視点で「デザイン経営宣言」を読んでみる

 ビジネスプロセスの中にどのようにインサイトを組み込んでいくか、インサイトフルな組織をどのように構築し運営していくか、という課題。この課題に、解を見出していない企業、あるいは取り組みが始まっても十分に活用しきれていない企業が、日本ではまだまだ多い。そして、企業全体ではなく、一部のセクションが主導し啓蒙を行っている段階、という企業も多く見受けられる。

 経済政策を主導する政府や官庁もインサイトの領域はほとんど意識されておらず、十分な目配りはできていない、と著者は感じている。

 そんな中、今年の5月に「『デザイン経営』宣言」と題した報告書が経済産業省と特許庁から発表された。あらかじめ申し上げておくが、ここで言う「デザイン」とは、単に個々の製品の外見を見栄え良くするという「意匠」に限定した話ではない。デザインは「他の企業では代替できないと顧客が思うブランド価値」を生む行為である。さらに、「⼈々が気付かないニーズを掘り起こし、事業にしていく営み」として「イノベーションを実現する力」になるのである(「」内は当該報告書より引用)。

『デザイン経営』宣言http://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180523002/20180523002-1.pdf

 この報告書は、アップルやダイソンといったデザイン面で評価が高く成功を遂げている欧米企業の存在を念頭に、「デザインによる我が国企業の競争力強化に向けた課題の整理とその対応策の検討」を目的としたものである。「デザイン経営」を、「デザインを活用した経営」と名付け、その必要性と実践にあたっての提言を行っている。

 このような取り組みが行われ提言が成されること、それ自体に対してはまず評価したい。現状認識や指摘されている課題についても同意できる点が多い。

 その一方で、課題をどのようにして解決していくのか、という実現のための方法論については、ここに記されている内容でそれが可能なのか? 十分と言えるのか? と疑問を抱かざるを得ない内容も、筆者の視点では存在する。この報告書の内容の限りであれば、片手落ちと言わざるをえない。そのように感じるのはなぜなのか、追って述べていきたい。

 報告書の内容については、デザイナーやコンサルタンティングファーム、大学教授など各省庁の外部からの人材で構成された「産業競争力とデザインを考える研究会」が担当してとりまとめを行っている。

 詳しい内容は報告書を実際にお読みいただきたいが、まずインサイトとビジネスプロセス、組織という観点から、この報告書には見逃せない内容が含まれている。

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この記事の著者

大松 孝弘(オオマツ タカヒロ)

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