1兆円を超える投資が集まる物流テック業界の動向――巨大市場を動かすスタートアップの取り組みとは

 500 Startups Japanは、11月1日に「500 Startups 物流テックベンチャーセミナー」を開催した。
 人手やスペース不足、IT化の遅延など様々な課題を抱える物流業界の現状と、それらをテクノロジーやシェアリングエコノミーによって解決を促す物流テックベンチャーを、500 Startups Japanの澤山陽平氏が紹介した。また、株式会社soucoと株式会社Shippioという、日本発の物流テックベンチャー2社が自社紹介とパネルディスカッションを行った。

[公開日]

[取材・構成] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] 流通 AI・機械学習 ロボット 物流テック ラストワンマイル

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多額の投資が集まる“物流テック”業界の現状――“輸送”と“保管”を担うスタートアップ企業

 最初に、500 Startups Japan マネージングパートナーの澤山陽平氏が登壇し、物流業界の概要を紹介した。

 現在、物流テックへの投資額が非常に大きくなっており、2013年から2017年までの累計投資額が1兆円を超えている。物流業界はヒト・モノ・カネ・情報の全てが関わっているため、他のスタートアップ業界と比べて大きな投資が必要になっているという。物流には場所や人が不可欠で、ソフトウェアだけで解決できる業界と比べ、多額の資金が必要だからだ。そのため、これまでは物流業界の参入障壁は非常に高かったが、センサーやデバイスの進化や、他の業界の変革によって、物流業界にもテクノロジーによる変革の波が起きていると澤山氏は説明した。

 物流業界の変革をサプライチェーンの観点からみてみると、下図右上は、船舶や航空機といった“大規模な輸送”。次は左上の“倉庫”で、どうやって効率化していくかが現在課題になっているという。左下では、よりローカルな拠点に届ける“輸送”。そして右下が“ラストワンマイル”と呼ばれる領域だ。

サプライチェーン

 この中で今回、株式会社souco 代表取締役社長の中原久根人氏と、株式会社 Shippio 代表取締役社長の佐藤孝徳氏が登壇し、自社の取り組みについて紹介した。

 2016年に中原氏が起業したsoucoは、Uber、Airbnb、WeWorkと同じシェアリングビジネスを展開している。余剰スペースを活用することを目的に作られたサービスで、物流領域でシェア倉庫を提供している。

 3年から5年という長期契約が基本の物流業界。soucoは必要なスペースだけを短期間使うことができるサービスを提供しており、季節によって需要の増減が生じる業界の顧客が主に利用している。中原氏は、夏の飲料メーカーや、12月の玩具メーカーが利用しており、長期契約の倉庫よりも20%から30%のコストカットできている、と紹介した。

 同じく2016年に、三井物産出身の佐藤氏が創業したShippioは、国際物流におけるウェブを使った配送手配業務サービスを提供している。

 このサービスは、荷受け地・到着日・貿易条件の入力が可能で、見積りや発注、輸出入の進捗確認までを一貫したプラットフォーム上でおこなうことができる。佐藤氏は、ITリテラシーが高くなく、事業者数も減少している物流業界に、直観的な操作で業務を簡略化できるサービスを提供していく、と紹介した。

 次に、モデレーターを500 Startups Japan 代表 兼マネージングパートナーのJames Riney氏が務め、中原氏、佐藤氏の3名によるパネルディスカッションが行われた。

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