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INNOSIGHT流イノベーションの興し方

イノベーションブームは何かおかしい 

第4回

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 「イノベーション」という言葉は頻繁に使われるようになったものの、その実態や起こし方というものを私たちは把握できているのでしょうか。1997年出版の『イノベーションのジレンマ』の出版以来、イノベーションを目指す企業は増えています。しかし、どこか本質をとらえきれていないと言わざるを得ません。ここで改めてクレイトン・クリステンセンの原則を踏まえ、いかにしてジレンマを乗り越えるのかを議論してみたいと思います。

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持続的イノベーションは「連続」、
破壊的イノベーションは「不連続」

 『イノベーションのジレンマ』で、クリステンセン氏は以下の2つのイノベーションは明確に異なることを記しました。「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」の2つです。

『イノベーションのジレンマ』 ▲写真 『イノベーションのジレンマ』 クレイトン・クリステンセン著(翔泳社・刊)

(1)持続的イノベーション:性能の向上により不満を解消

 「持続的イノベーション」は、私たちが普段から見慣れている改善型のイノベーションです。技術改良により、以前の製品よりも高い性能の製品を世の中に出すタイプのイノベーションは、どこの企業でも行っています。自社製品をより良くすることは、顧客の要望でもあり、技術開発の目標でもあります。

 しかし、『イノベーションのジレンマ』で紹介されているように、特に現在は持続的イノベーションだけでは限界があり、巨大な企業ですら潰れてしまいます。既に性能に十分満足した顧客にとって、性能が一定レベルを超えた時点で過剰な改善です。コンパクトデジカメは、必要十分なカメラ機能を持つスマートフォンの登場により、徐々に市場を失っているのはこのためでしょう。

 持続的イノベーションは徐々に顧客の顕在化したニーズを満たし、市場を拡大させる効果があります。一方で破壊的イノベーションは不連続性を持っており、顧客の潜在的なニーズを満たします。

(2)二つの破壊的イノベーション:ローエンド型は「価格」、新市場型は「価値」

 現在、多くの企業が必要とするのは「破壊的イノベーション」です。持続的イノベーションはロードマップが描きやすいという特徴があるため、企業では「織り込み済」であることがほとんどです。そのため、多くの場合、企業で求められているのは破壊的イノベーションという不連続な成長ということになります。

 破壊的イノベーションはさらに2つに分かれます。

1:ローエンド型破壊的イノベーション

 「ローエンド型破壊的イノベーション」は、持続的イノベーションによって顧客の要望を超えた製品に対抗し、従来製品よりもはるかに安い製品を市場に投入することで起きます。ひらたく言うと、「安かろう、悪かろう」です。

 機内サービスと路線数で差別化していた航空業界において、サービスは排除しながら超低価格で特定路線のみを就航するLCCが一定の市場をつくったのは、このローエンド型イノベーションによるものです。従来型の航空券を買うことができなかった人たちがLCCを利用して旅行に行くようになり、全体の航空旅客は大きく増加しています。ローエンド型破壊が起きると、それまで買うことができなかった顧客層による市場が生まれ、不連続な成長をもたらします。

2:新市場型破壊的イノベーション

 「新市場型破壊的イノベーション」は、ローエンド型同様、顧客の要望を超えた製品に対抗して起きます。ただし、ローエンド型では「価格による魅力」が顧客を惹きつけるのに対し、従来の製品には備わっていなかった「価値」が備わっていることにより、顧客を惹きつけます。

 アップルのiPadは新市場型イノベーションの例です。コンピュータが本来持っていなかった「リラックスしたまま、どんな姿勢でもインターネットを見ることができる」「直感的な操作」といった価値があったため、爆発的な普及力を持ちました。直近の例では、デジカメのイノベーションをGoProが起こしています。画質という価値はそこそこにして、いつでもどこでも取り続けることができるという新たな価値を提供し、アクションカメラという市場カテゴリをつくり出しました。

 価値創造型の破壊的イノベーションは、新たな市場カテゴリをつくることで、不連続な成長を企業にもたらします。

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破壊的イノベーションに関する2つの誤解

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この記事の著者

津田 真吾(ツダ シンゴ)

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