小売り、メディア、モビリティ、ソフトウェア――生き残るために「顧客中心」に切り替えた企業の取り組み
たとえば小売業が顧客の希望を先取りした例に、Stitch Fix社がある。同社は洋服をスタイリングし、販売するというサービスを提供している。あらかじめ顧客に質問した内容とビッグデータ、そして人間のスタイリストの知恵を組み合わせて、顧客が好むだろう洋服を予測し、送付する。受け取った顧客は気に入らなければ返送できるが、Stitch Fix社のスタイリングは好まれ、返送率は非常に低い。
Amazonも同様に顧客の好みを予測する。それを可能にしているのはAmazon IDだ。過去の購入履歴から、好きな食べ物やビール、ペーパータオルの銘柄などを判断し、毎日それを顧客に届ける。そして、その履歴をさらなる顧客体験へとつなげていく。店舗での買い物の場合はそういうわけにはいかない。それこそが、Amazonが既存の小売店を凌駕している理由だ。