“サブスクリプション・ビジネス”によってすべての部門が変化を余儀なくされる
サブスクリプション・ビジネスの敵の一つは、製品の陳腐化である。製品は常に改良し続ける必要がある。一例をあげよう。Gmailには5年もの間、「ベータ版」の表記がつけられていた。Googleの開発者はそれがサービスとして成功するか確信が持てず、とにかくユーザーを増やしてフィードバックをもらい、改良を重ねていったのだ。2009年にベータ版の表記は消えたが、開発者は今なお、全く同じ方法でサービスの改良を続けている。開発者は顧客に最終版を提供するのではなく、永遠にベータ版を出し続ける必要があるのだ。
ニコンも顧客を巻き込んでのサービス開発を行なっている。インターネットを通じて顧客の声を聞き、好みや習慣、問題点を吸い上げる。その活動の中から、カメラとスマートデバイスをシームレスにつなぐ、アプリを活用したサービス「Snap Bridge」が生まれた。電気自動車を手がけるTeslaが自動車のOSを頻繁に更新し、ユーザーが車を買い替えることなく機能をアップロードできるようにしているのも、同様の発想である。今や顧客は、サービス開発のパートナーなのである。