新規事業のアイデア・プラン創出を成功させるアプローチ──事業開発の現場で頻出する「3つの課題」とは?

第2回

[公開日]

[著] 北嶋 貴朗

[タグ] 事業開発 新規事業

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

社内に眠る事業アイデアやプランを活用する──事業アイデアやプランが無い場合の解決アプローチ(3)

 最後に、既に社内に眠っている事業アイデアやプランを発見し、活用するアプローチについて解説していきます。このような場合によく用いられるのが、新規事業創出プログラムや社内ベンチャー制度、ビジネスコンテストなどのアイデア公募型のプログラム運営です。このアイデアを公募する対象を社内ではなく社外として行う取り組みが、近年流行となりつつある「オープンイノベーション」の一環である「アクセラレーションプログラム」などに当たります。

 前回の記事でも解説した通り、このような公募型のプログラムは短期的に事業的な成果を上げることよりも組織的な観点での目的/意義の比重が大きく、人材育成や研修としての効果が期待されるものです。しかし、実際にアイデア公募型のプログラムを通じて新規事業開発に成功した事例は世界でも数多く存在します。たとえば、Googleの「Gmail」やAmazonの「AWS」、リクルートの「スタディサプリ」などは、社内のアイデア公募型のプログラムから生まれたものとして有名です。

 アイデア公募型プログラムのような仕組みや制度を適切に運営して成果を上げるためには下記のようなポイントを抑える必要があります。

社内のアイデア公募型プログラムを適切に運営するポイント社内のアイデア公募型プログラムを適切に運営するポイント

 まず、プログラムの目的や意義、公募するアイデアやプランの要件を明確にして周知を徹底することが必要です。そもそもプログラム自体の存在や目的/意義などが社内で認知・理解されない限りアイデアを集めることはできません。また、何も制約や条件・ガイドラインが無い状態で公募をしても、応募者はどのような内容が適切か判断できません。アイデア創出を促進するためには、ある程度は事業ドメインや市場、活用する技術やアセット、具体的なイメージや事例、制約条件などを明確にすることが必要です。目的や意義、要件を整えることで、集まるアイデアの量だけでなく、質も高まっていきます。

 次に、プログラムに応募・提案することによって得られる応募者側の報酬/メリットが、発生するコストやデメリットを上回る設計を行った上で、その旨を明示することが重要です。既存事業における通常の業務で多忙な中、新たにアイデアやプランを提案するには多くの労力や心理的負担=コスト/デメリットを伴うため、これを上回る期待値が無ければ応募・提案は活性化しません。たとえば、優秀なプランは予算がついて事業化が約束される、事業の責任者や子会社の社長として裁量を持って挑戦できる、賞金が出る、人事制度上で高く評価される、などの報酬/メリットを用意してコスト/デメリットを上回るような配慮が不可欠です。

 最後に、プログラムを単発で終わらせずに継続して改善を行っていくことが、単なるイベントや行事ではなく組織の文化や価値観として社内のアイデア発見や活用を定着させることに繋がっていきます。不確実性が高い新規事業開発においては、継続的に取り組みを続けない限りは安定した成果創出は望むべくもありません。応募・提案されたアイデアやプランに適切にフィードバックを行って改善を続ける、応募者に対してコミュニケーションを取って別の新たなアイデアやプラン創出を促進する、応募者同士を繋げてアイデアやチームを昇華させるなど、運営事務局の工夫や関与によりプログラムとしてのレベルを高めることが重要になります。

 今回は、新規事業と既存事業の違いや新規事業開発の現場において頻出する3つの課題、そして課題の一つである「事業プランやアイデアが無い/出てこない」に対する解決アプローチについてご紹介しました。次回は、「事業プランやアイデアを適切に評価/検証できない」という課題の詳細や解決アプローチについて解説していきます。

バックナンバー