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なぜ “優秀な社員”が結果を出せないのか──ピープルアナリティクスが可能とする働き方と意思決定の変革

ゲスト:Humanyze社 CEO ベン・ウェイバー氏

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 4月から働き方改革関連法が施行された。働き方改革に関しては様々な議論が交わされているが、今回の法律は労務管理関係のものがメインである。しかし多くの人は働き方改革に、クリエイティビティレベルをあげるような、本当の意味で生産性を向上させる策を求めているのではないだろうか。「ピープルアナリティクス」の考え方は、それにヒントを与えるだろう。Biz/Zine編集部はそう考え、「ピープルアナリティクス」の提唱者で、従業員コミュニケーション可視化のためのハードウェア・ソフトウェアを提供するHumanyze社の社長兼CEOのベン・ウェイバー氏に話を聞いた。

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ピープルアナリティクスが解明する組織の「凝集性」と「多様性」とは

 『マネーボール』というメジャーリーグを描いた映画を観たことはあるだろうか。この映画は、財力のある球団がスター選手を集めて勝つという状況が当然だった2000年代のメジャーリーグで、華々しい実績のない選手を抱える貧乏球団がデータの力を使って黄金時代を築いた実話をもとにしている。ピープルアナリティクスを説明するときに、ベン・ウェイバー氏はよくこの映画を引き合いに出す。ウェイバー氏は、こう話す。

野球選手の打率と同様、セールスマンは営業成績などの数値化されたデータがあります。組織は人々に共同作業をさせる手段の一つですから、企業は円滑に組織が動くようにと、そういったデータを活用して生産性向上を考えてきました。しかし製薬会社のR&D部門などのように短期的にわかる明確なKPIがあまりない仕事も多いですよね。また、どんなコミュニケーションをしているのか、ウォーターサーバーを生産性向上に役立てるにはどこに置いたらいいのかということも、データで把握しづらいものです。そういった組織や人々の習慣を可視化し分析して、組織変革に活用できるようにしたのがピープルアナリティクスです

 ピープルアナリティクスで利用するのは、メールやチャットのデータ、オフィスと社員証などに仕込まれているセンサーからの位置情報データなどである。回答者や観察者の気分や認識に左右されるアンケートや行動観察よりもはるかに客観的なデータだ。加えてHumanyze社では誰かと誰かが近づいたことを検出する赤外線装置や、人々の動きの変化を測定する加速度計、口調やトーンがわかるマイクロフォンなどのデータを検出できるソシオメーターという小さな装置も開発してデータ分析を行っている。

タイトル

 これによってわかるのは、誰が誰とどのくらいどんな風に接しているのかである。それを分析していくと、集団の凝集性(集団内でどれくらい交流があるか)と多様性(別集団とどれくらい交流があるか)がわかるのだ。

 するとどんなことができるのだろうか。例えば、あるコールセンターでピープルアナリティクスを行ったところ、離職率に影響を与えるストレスレベルと、凝縮性(集団内でどれくらい交流があるか)には強い相関があることがわかった。しかも、その交流はメールではなく対面で、オフィスから離れたランチをとる場所で同じチームメンバーが出会うほんのわずかな時間に起こっていることもわかった。

 通常、コールセンターではチーム内でランチを分割してとる。ランチタイムの取り方は業務効率には関係なく、チームの業務に支障が出ないようにと考えるならランチをとる時間は分割した方が良いと見なされているからだ。しかし、上記の結果を受けてチーム全員が同時に15分のコーヒーブレイクを取れるようにしてみたところ、離職率が大幅に改善したという。

 ピープルアナリティクスを行うことで、この企業は今まで疑問を抱きもしなかったルールを変えて、職場を改善できたという。

ベン・ウェイバーベン・ウェイバー氏
ソーシャル・センサー技術を用いた行動分析会社Humanyze(前:ソシオメトリック・ソリューションズ)のCEO。MITメディアラボで博士号を取得し、現在は客員研究員をつとめる。ハーバード・ビジネス・スクールの元上級研究員。日立製作所の中央研究所やリコーの中央研究所で働いた経験を持つ。研究はワイアード誌、ニューヨーク・タイムズ紙、ナショナル・パブリック・ラジオで取り上げられており、ハーバード・ビジネス・レビュー誌の「革新的なアイデア」や、テクノロジー・レビュー誌の「新興技術トップ10」に選出されている。また、LGやマッキンゼーといった大手企業に対してもピープルアナリティクスに関するアドバイスを行うほか、グーグル、EMC、サムスンなどから講演の依頼を受けている。著書に『職場の人間科学: ビッグデータで考える「理想の働き方」』がある。

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