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人事と経営のジレンマ

仕事のモチベーションやインセンティブは“主人公たる本人に立脚した物語”であること

ヒューマンリンク株式会社 代表取締役社長 兼 三菱商事株式会社 人事部付部長 和光 貴俊氏【後編】

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 今回は、三菱商事で人事畑を歩み、現在は兼務にてヒューマンリンク株式会社の代表として、三菱商事グループの人材開発を担う和光貴俊氏にお話をお聞きしました。  前回は、経営人材の資質として期待する「インキュベーター」、キャリアパス発想の転換、人材開発・組織開発・事業開発をつなぐものとは何かをお聞きしました。今回は全3回の記事の最終回として、若手社員が求めるものの変化、モチベーションやインセンティブ設計、激動の時代に必要な「学びの持久力」などを議論しました。

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若手社員が求めるものは、出世や給料じゃない

宇田川元一氏(埼玉大学大学院 人文社会科学研究科 准教授、以下、敬称略):最近、講演や勉強会などで大手企業の若手社員とやり取りをする機会が増えているのですが、彼らが最初に話題にするのが、上司に対する不満なんです。けれども、話を聞きながら「相手との対話の糸口をどこに見出していくか」と水を向けると、段々と自分にできることがあることに気づいてくれます。

 そのアプローチが進んでいくと、次に見えてくるのが「会社の中はリソースだらけだ!」という事実なんですよね。大企業であればあるほど、社内に莫大なリソースが展開している。社内のリソースを自分のやりたいことと、社会の様々な課題とつないで新しい物事を生み出していくのが、本来的な仕事の楽しさだと思うんです。

荒金泰史氏(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ HRアセスメントソリューション 統括部 マネジャー、以下、敬称略):同感です。「自分が社会に価値を生み出せている」と実感できるようになってくると、仕事に対する向き合い方は大きく変わってきますね。

宇田川:前回、和光さんから「今の新卒を含めた若手社員は大人しくて、段階的に力をつけていこうとする傾向にある」とのお話がありましたが、彼らの成長に勢いをつけていくには、そうした「本当の仕事の楽しさ」をいち早く体感してもらうことが、効果的なんじゃないかなと。楽しさを知れば、自ずと前のめりになっていく気がしています。

 学生たちと接していると、多くの学生が「就職したくない」「働くのが怖い」と感じていることがわかります。その理由を聞いてみると「親の世代がつらそうに仕事をしているから」と言ったりする。そう感じさせてしまっていることに、大人としての責任を覚えつつ「いやいや、仕事ってそんなに捨てたもんじゃないぞ」と、ちゃんと伝えていかなければなと思っています。

和光貴俊氏(ヒューマンリンク株式会社 代表取締役社長、以下、敬称略):なるほど、そんな背景もあるんですね……。私が若い頃は「仕事の報酬は仕事だ」なんて言われていました。いい仕事をすれば、次にもっといい仕事が舞い込んでくる。それこそが、金銭以上の見返りだと。個人的にとても好きな言葉なんですけど、確かに「仕事自体に自ら価値を見出せている」という前提がないと、この言葉は機能しないですね。

 我々は人事として「仕事におけるインセンティブ」について、今一度、真剣に考えなければいけないのだなと思っています。「仕事のインセンティブは仕事だ」なんて言うのは、響かない相手にとっては暴論に聞こえてしまうでしょうから。じゃあ、そんな若者にとって有効なインセンティブとは何だろうか……。彼らが「それのためなら頑張れる」と思えるようなインセンティブを、選択肢として用意してあげる必要がある。

 有効な選択肢が何なのかは模索中ですが、明らかなのは「出世」ではない、ということ。それなりに「裁量や権限を持ちたい、大きな仕事をやってみたい」という気持ちは持っているものの、決してポジションそのものを欲しがっているわけではない。これは、従来型の価値観と一線を画すというか、なかなか上の世代が理解に苦しんでいるポイントだと思います。

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