スティーブ ・G・ブランク氏が語る、この10年間のスタートアップ投資とリーダーシップの変化とは?

ゲスト:スティーブ ・G・ブランク氏、ラーニング・アントレプレナーズ・ラボ株式会社 堤孝志氏【後編】

 新事業を科学的アプローチで実践する「顧客開発モデル」を体系化し、アントレプレナーが方法論を学ぶための最初の書籍『アントレプレナーの教科書』を出版して大きな話題になったスティーブ・ブランク氏。氏の6年ぶりの来日にあたり、著書の翻訳を行ったラーニング・アントレプレナーズ・ラボ株式会社の堤孝志氏が、書籍刊行後の環境変化と新規事業立ち上げに関する新手法を聞いた。前編に続く後編では、この10年でのスタートを取り巻く大きな投資環境の変化に関しての内容をお届けする。

[公開日]

[語り手] スティーブ・G・ブランク [聞] 堤 孝志 [取材・構成] フェリックス清香 [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] スタートアップ リーンスタートアップ 事業開発 企業戦略 顧客開発モデル

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ここ10年のスタートアップの投資に関する大きな環境変化とは

ラーニング・アントレプレナーズ・ラボ株式会社 堤孝志氏(以降敬称略):著書である『アントレプレナーの教科書』や『スタートアップ・マニュアル ベンチャー創業から大企業の新事業立ち上げまで』が日本でも翻訳されてずいぶん時間が経ちました。アメリカでの出版は2005年ですが、その時点と今ではスタートアップを取り巻く環境にどんな変化があったとお考えですか?

スティーブ・G・ブランク氏(以降敬称略):一番大きな変化は、今では起業家がどこにでもいるということですね。かつては今よりも情報を得るのが難しく、地球規模どころか国家規模、あるいは同じシリコンバレーにいても情報にアクセスすることは難しく、誰かとコーヒーを飲んでようやく得られる、というような状態でした。しかし今は、起業家も多く、情報にもアクセスしやすくなっています。

 二つ目の変化は、起業家にとってのLEANという考え方が浸透したということです。私が『アントレプレナーの教科書』を、エリック・リースが『リーン・スタートアップ』を出す前は、スタートアップのための方法論は確立されていませんでした。しかし書籍が出て、世界の起業家は、たとえうまく実践できてはいなかったとしても、LEAN、つまりすばやく行動し、すばやくピボットし、コストをかけすぎないでおくべきだということを知っています。それが2005年から2015年くらいまでに起こった変化です。

 そして、ここ5年ぐらいの大きな変化を象徴するのが「孫さん」です。

堤:ソフトバンクの孫正義さんですか?

スティーブ・G・ブランクスティーブ・G・ブランク氏
シリコンバレーの元シリアルアントレプレナー。CEOを含めてさまざまな役職で8社のベンチャー企業の創業と立ち上げに携わる。起業家活動から引退後は、アントレプレナーシップ教育に従事。スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクール、コロンビア大学にて顧客開発とアントレプレナーシップについて教鞭をとる。顧客開発モデルの実践プログラム「リーンローンチパッド」を開発。2009年スタンフォード大学マネジメントサイエンスエンジニアリング学部教育者賞、2010年カリフォルニア大学バークレー校Earl F Cheit優秀教育者賞を受賞。

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