アクセンチュアは今回発表したレポートで、VRやAR、その他没入型ツールまでを含めた広義の拡張現実であるXRが、エンターテイメント領域での活用の枠を超え、新たな価値を生み出す技術であることを提示している。
企業のXR関連支出は消費者支出を上回っており、2023年には企業支出は消費者支出の3倍に相当する1,210億米ドルに達する見込み。アクセンチュアの分析では、2014年から2016年までの間にARやVRに関連する特許出願数は5倍近い6,000件以上に増加しており、この間の関連スタートアップ企業の資金調達額は237%増となっている。
アクセンチュアは、XRによる新たな体験機会が期待されている一方で、個人や社会の幸福に対して以下のリスクをもたらす可能性があると指摘している。
- 個人情報の悪用
- フェイク体験
- サイバーセキュリティ
- 反社会的行為
アクセンチュア・インタラクティブでコンテンツイノベーション部門を統括するロリ・デュボフ氏は「最高の顧客体験は、人々の生活を向上させるという目的とそのためのイノベーションが交わる点に生まれると確信しています。XRには計り知れない可能性があり、私たちは過去のさまざまな失敗から学ぶことで、より解放的で責任ある世界や体験をデザインすることが求められます。最終的にXRを成功させるには、戦略チームやクリエイティブチームが多様な視点を持ちより、すべてのひとに開かれたXR体験にする必要があります」と話す。
そこで、XRを適切に活用していくために、企業には以下のような行動が求められるという。
- 独自の早期警戒システムを構築する
- 責任あるデザインのために多様なエキスパートを動員する
- 従業員の能力の強化に投資する
アクセンチュア・リサーチのプリンシパル・ディレクターであるアルメン・オーバンソッフ氏は「XRは早くもVRやARの枠を超え、触覚や嗅覚、味覚といった人間の五感や思考を活用したり、それらを増大させたりするツールを含むまでに進化を遂げています。こうしたツールは、正しく活用すれば私たちの暮らし方や働き方を大幅に向上させることでしょう。アクセンチュアには、しっかりと安全性を確保しながら、技術的なイノベーションを推進していく義務があります。私たちはビジネスリーダーや政策立案者、市民社会に対して、XRの責任ある未来を積極的にデザインするために今こそ行動する時である、と呼びかけています」と話した。