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「大企業による新規事業」のリアル

大企業に所属している感覚はない──eiicon中村氏・富田氏が語る企業内起業の実践

第6回 ゲスト:eiicon company中村亜由子さん、富田直さん

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 前回に引き続き、新規事業開発に携わる方へのインタビューを通して、大企業内での新規事業開発のリアルな事例をご紹介するシリーズ。今回は総合人材サービスのパーソルグループ内でオープンイノベーションのマッチングプラットフォーム「eiicon(エイコン)」を運営する、eiicon company代表の中村亜由子氏と、ServiceDevelopment責任者の富田直氏にお話を伺いました。  登録企業10,000社を突破し、3周年を迎える2020年2月には『OPEN INNOVATION AWARD 2019』を開催するeiicon company。企業内起業にありがちな親会社との付き合い方、1年10ヵ月で単月黒字化した秘訣などをお聞きします。

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「お前、予算ないよ」──事業立ち上げのスタートラインに立つまで

畠山:完全オープン型の企業間マッチングプラットフォームである「eiicon」はどのような経緯で立ち上がったのでしょうか。

中村亜由子氏(eiicon company 代表、以下敬称略):FacebookやTwitter、LinkedInがある今の時代、個人であれば、オンラインで検索し連絡をとることは以前よりずっと簡単になりました。しかし、私がeiiconを起案する2015年以前、企業がパートナー企業を探すためにはコンサルティング型のサービスや仲介業社によるマッチング支援などアナログな手法がメイン。共創を考える企業同士が自由に出会える場がオンライン上にないことが、オープンイノベーションの浸透・日本の新規事業創出の足かせになっていると感じ、同じ目的に向かえる企業同士や、ともに課題解決に取り組むことができる企業同士が出会える場を作ろうと考え、社内で事業起案をしました。ちょうど、その年始まったホールディングス内の新規事業制度に応募したんです。

畠山:そこで新規事業と採択され、予算を獲得したことで始まったんですね。

中村:はい。ただ、採択された2015年12月当時、私は育休を取得している最中でしたため、採択後に行われた翌年2月の予算会議に出席することができませんでした。

 事業立ち上げのために職場復帰したその当日。2016年4月1日、上司に新規事業として展開していくプラットフォームの構想や、そのためのメンバー採用の話をしに行きます。そこで「中村さんには、予算はない」と伝えられました。俄には信じられませんでしたが、「採択はしたけど、それを実行するための資金提供の意思決定は会社としていないよ」という状態でした。今思えば予算会議に出ていないんだから当然だとも思いますが、当時の私は新規事業初心者。本当にびっくりで、どん底でした。でもやるしかないと考えました。

 そこから3ヵ月間、事業資金の提供を申請し続け、やっとホールディングスの経営会議に臨時予算会議の場を持ってもらうことができました。ただ、そこで事業を進めることは“否認”されます。その場には新規事業制度とは関係のない役員も多く、プラットフォームビジネスモデルであるeiiconは最初の開発段階での投資が大きく、それに対し効果が不明瞭であるということが引っかかったようでした。

 その場で「来週また10分ください」とお願いして翌週改めて提案し、当初より会社からの資金の額を大幅に減らし、事業計画をスリム化した状態で持参。そこで初めて事業資金を手にすることができました。

畠山:こんなに伸びている事業も波乱万丈の幕開けだったのですね。このあとはどのように開発していったのか、社内でどのように人を採っていったのかを伺っていきます。

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