世界中の大企業が支持する「エクスペリエンスマネジメント」とは?
冒頭で、田口氏は「小さな一歩を踏み出そう」と訴えた。小売業におけるデータ活用では、いまだリアルタイムでの処理やアクション管理は十分とは言えない状態だが、その実現によって新たな改革が実現するという。
大学での課題抽出や改善のためのアンケートプラットフォームとして創業した米国クアルトリクス社は、ロイヤルティやエクスペリエンスが企業でも重視されるようになる中で、急速に活用分野を拡大させてきた。現在では世界90カ国の11,000以上の企業・団体に導入され、フォーチュン100社のうち75%が同社のソリューションを導入しているという。2018年11月には、9,100億円でSAPに買収されるなど、エクスペリエンスマネジメントのリーダー企業として高い市場評価を受けている。
それでは「エクスペリエンスマネジメント」とは、いったいどのようなものなのか。田口氏は「一言で言えば、顧客を熱狂的なファンに、従業員をアンバサダーに、製品を虜になる物に、ブランドをアイコンにするようなもの」と語る。その中でも、重要な要素の1つである事業者側と顧客とのギャップを解消するカスタマーエクスペリエンス(CX)ソリューションについて紹介した。
そもそもCXにおけるギャップとは、どのようなものか。クアルトリクス社による調査によると、企業のCEOの80%が「顧客に対し最高のエクスペリエンスを提供している」と回答しているのに対し、顧客が「最高の体験をした」と回答した割合はわずか8%に過ぎないという。製品やサービスを提供する側と提供される側には大きなギャップがあるというわけだ。
このギャップを認識して改善することで、顧客のロイヤルティをあげていくことができる。そのためにはまず、従業員のエンゲージメントの要素を改善して向上させることで、生産性の向上や離職率の低下につなげ、顧客への対応品質を向上させる。そうすれば、顧客体験が改善され、顧客のロイヤルティが向上し、最終的には売上が上がる一方で必要コストが下がり、企業収益に恩恵をもたらす。つまり、従業員体験(EX)を改善することが、顧客体験(CX)の向上にもつながるという考え方が重要なのだという。