データ分析からアクションに繋げ、改善を実現した3つの事例
クアルトリクスのCXソリューションでは、Oデータの取得は会員登録者については顧客データを用い、非会員登録者はレシートなどにQRコードをプリントしたものから入力してもらう。いずれもメーカーとのタイアップキャンペーンなどにも活用でき、分析結果はダッシュボードで共有される。他にも複数のキャンペーンを同一のダッシュボードで管理して相乗効果を検証したり、Free Wi-Fiを利用して非会員の来店目的及び行動パターンの把握を行ったり、Webと実店舗との連携分析なども可能だ。
ここで田口氏は、実際に導入企業について紹介を行った。日本では約200社の企業が導入しており、小売業に加え、サービスやメーカーなど多彩な事業分野で活用されているという。
まず1つ目の事例として、全日本空輸(ANA)での活用状況が紹介された。同社でも、満足度調査を行っていたが、現場にフィードバックするまでの時間とリアルタイムの共有に課題があった。そこで、クアルトリクスのCXソリューションで、デイリーにアンケートの配布と回収を行い、ほぼリアルタイムにダッシュボードで分析結果を共有したところ、改善アクションへとスムーズにつながった。今後はアクション管理自体も実装を予定しているという。
また、BMWの事例では、KPIとしてグローバル指標の「Net Promoter Score(NPS®)」ばかりが意識されるがゆえに、アンケート時の数値だけが重視され、売上につながるアクションに紐付けられていなかった。また実際の満足度調査ではフィードバックに1ヵ月かかるなど、実態に合わない状況になっていた。そこでクアルトリクスのCXソリューション導入によって、カスタマージャーニーごとのアンケートを行い、リアルタイムで全国300のディーラーに対して回答をフィードバックすることを徹底。それによって24時間以内のフォロー状況を可視化するなど、改善アクションをKPIとした。その結果、現場での行動が改善されただけでなく、NPSスコアについても自然と3ヵ月で向上が見られた。
そして3つめには、海外事例としてjetBlueの事例が紹介された。同社では早朝便の申し込みが減少していたことが懸案事項となっていたが、クアルトリクスのCXソリューションによるアンケート分析によって、早朝に開店しているレストランがないことに不満があり、それが搭乗便選びに影響していることがわかった。そこで早朝便の客に軽食サービスを提供したところ、搭乗客が増えたという。数値的な効果として、NPSスコアで13アップし、年間300億ドルものコスト削減、10年連続での顧客満足度アワード受賞、単年度4億ドルもの増収が紹介された。
こうした効果についてForresterの評価によると、クアルトリクスのCXソリューションによってNet Present Value(正味現在価値)は平均1億2,000万円向上し、投資利益率は平均で674%、投資回収には半年未満という報告がなされているという。「こうした数字が出せるのは、分析したままではなく、それを実際の改善アクションにつなげ、そこまで網羅したソリューションとして提供できるから」と田口氏は説明する。また定性効果として、事実に基づいた社内評価制度が生成されたり、顧客理解が深まったり、またCX担当チームの社内評価の向上などが見られたという。
セッションの最後には、画面でのデモンストレーションが行われ、「アンケート作成画面」の操作性や専門家によるレビュー機能、配信チャネルの簡便さ、そして「ダッシュボード」についてはNPSへの影響度分析画面などのわかりやすさなどが強調された。また、分析結果を改善活動につなげる「アクション設定」については、すぐに対応すべき事項をプッシュするなどの機能があると紹介し、セッションを締めた。
注:NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。