2020年1月に刊行された『アルゴリズム フェアネス』(尾原和啓著 KADOKAWA)は、GAFAに代表される巨大IT企業の支配が広がる現代社会において、私たちがより自由に生きるための視座を与えてくれる本として注目されている。同書の出版記念として、著者の尾原和啓氏と『テクノロジー思考』(ダイヤモンド社)の著者で投資家の蛯原健氏との対談が行われた。
物事の根底にあるアルゴリズムの把握に必要な“コンテクストを紐解く力”
尾原和啓氏(以下、敬称略):蛯原さん、今日はよろしくお願いします。『アルゴリズム フェアネス』はどうでした?
蛯原健氏(リブライトパートナーズ 代表取締役、以下 敬称略):「明るい」のがいいですね! 斜に構えず、さりとて課題はきっちり押さえた上で、明るく前向きに昇華しているというのが、すごく尾原さんらしくていいな、というのが率直な感想です。
尾原:ありがとうございます。日本では、テクノロジーについても民主主義や資本主義についても、今の時代を支えてくれる根本原則をちゃんと使い切る前に、その副作用にばかり着目しがちなのがもったいないと思うんです。
蛯原:確かにディストピア的な見方が蔓延しがちです。尾原さんの場合、そういう面も否定せず、まずは理解しましょう、そして向き合いましょうという態度で、「いいか悪いか」という二元論になってないところがいいですね。
尾原:蛯原さんの『テクノロジー思考』では、まずは対象を深く掘り下げて理解しようという意識が通底していることを感じています。テクノロジーが時代をどう変えるのか、世の中の機会をどう増やすのかといったテーマについてラディカルに掘り下げていかれるのが蛯原さんのすごいところだな、と。その洞察を活かして、インドや東南アジアの産業を変化させるようなテクノロジーに投資されていらっしゃるのも面白い。
蛯原:ありがとうございます。
尾原:蛯原さんが物事の根本にあるアルゴリズムやゲームチェンジみたいなものをうまく言語化できるのはどうしてなんですか?
蛯原:この前、あるパネルディスカッションで「読書とは何か」みたいな話をしていたんですよ。そこで出てきたことのひとつが「読書とはコンテクストを紐解くものだ」ということだったんですけど、そういうことじゃないですか? コンテクストとはすなわち、時間軸や地政学など全ての面をある程度俯瞰しながら、時にはバッとズームインして見て、そこに通底するファクトとか法則、それこそアルゴリズムを見つけ出すということですよね。何事も「コンテクストの紐解き」が基本だと思います。
尾原:さらっと言っているけど、なぜそれができるのかはまた別の話で、結構実践するのは難しいですよね。
蛯原:僕の場合ははっきり言って、先天的なものだという感じがします。先天的っていうのは能力が低いとか高いとかそういう意味じゃなくて……。
尾原:好きとか嫌いって話ですよね。
蛯原:読み解かないといられない性格なんですよ。それで得したりお金が儲けられたりするわけでは、必ずしもないんですけど。
会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
-
- Page 3
-
- Page 4
-
- Page 5
この記事は参考になりましたか?




