今回TRUST SMITHが販売を開始した「compRet(コンプレット)」は、化合物の合成経路を網羅的に設計する逆合成解析AIアルゴリズム。これは、東京大学大学院・新領域創成科学研究科に所属する渋川亮祐氏が開発したアルゴリズムで、囲碁AIや将棋AIなどでも活用されているAND/OR木探索を、逆合成解析の合成経路設計に応用したものだという。
compRetの最大の特徴は、化合物の合成経路の候補となる解を重複なく網羅的に出力した上で、様々な経路設計を行える点にある。出力された様々な経路を評価し、スコアが上位のものを取り出すことで、効率よく逆合成解析ができる。ニーズに合わせて、逆合成経路の出力を自由に設定できる機能や、出力される数十万経路の中から不要な経路を自動で弾く機能も実装している。
これまで逆合成解析で用いられてきた手法では、化合物の合成経路を一つしか出すことができないため、人間が経路を設計する時の支援としては不十分であることが大きな課題だった。TRUST SMITHのcompRetによって、網羅的な経路設計が可能となり、逆合成解析の効率性が飛躍的に向上することが期待できるとしている。